ちょうど一年ほど前、あれは午前三時頃だったか、 僕は吉田神社の近くをYと一緒に自転車で走っていた。 ふと、夜空を見上げると、そこに無数の星が見えた。 これほど沢山星が見えたのは、子供の頃キャンプで田舎の山奥へ行ったときか、 二年前、天川村でペルセウス座流星群を見たときぐらいのことであった。 まさか、大学近辺でこのような光景が見られるとは! 隣りに自転車を止めたYが北斗七星の場所を教えてくれた。 僕は冬のオリオン座くらいはすぐに分かるのだが、それ以外はさっぱりで、 将来、天文学者になるなどと広言していた小さな頃に、 もっと星座を覚えておけば良かった、と すこし後悔した。 それほど、その夜の星は美しく天を埋め尽くしていたのだ。 ・・・人々は昔から、この天上の住人達にいろんな願いを託してきた。 そういえば、僕はあの流星たちに何を祈ったのだったろう? |