〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
亜細亜の魔女
-- 吉田山 --
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ちょうど一年ほど前、あれは午前三時頃だったか、

僕は吉田神社の近くをYと一緒に自転車で走っていた。

ふと、夜空を見上げると、そこに無数の星が見えた。

これほど沢山星が見えたのは、子供の頃キャンプで田舎の山奥へ行ったときか、

二年前、天川村でペルセウス座流星群を見たときぐらいのことであった。

まさか、大学近辺でこのような光景が見られるとは!

隣りに自転車を止めたYが北斗七星の場所を教えてくれた。

僕は冬のオリオン座くらいはすぐに分かるのだが、それ以外はさっぱりで、

将来、天文学者になるなどと広言していた小さな頃に、

もっと星座を覚えておけば良かった、と

すこし後悔した。

それほど、その夜の星は美しく天を埋め尽くしていたのだ。

・・・人々は昔から、この天上の住人達にいろんな願いを託してきた。

そういえば、僕はあの流星たちに何を祈ったのだったろう?


次のページへ
寿琅啓吾 <soga@summer.nifty.jp>