セッションの方法


前項はセッションの内容についての簡単な紹介でしたが、次に、セッションの方法について詳細をお伝えします。

◆使用システムについて

特定のシステムを使用しません。そういうわけで、このセッションでは成否判定を行いません。いいかえると、成否判定を行わなければならないようなシナリオではありません。(例えば、「戦闘」はありません。)


◆セッションへの参加のしかたについて

特定のシステムを使わない、と言われると、どうやってプレイしたらいいのか分からない人が大多数だと思いますので、簡単に指針を書いておこうと思います。


▼"RP"Gではありません

ロール(役割)をプレイ(演じる)することが目的ではないので注意して下さい。 中学三年生であるという設定は、行動を社会的、肉体的に制限していますが、精神年齢的な制限は、あまり考えないでくださいね。理由は後述します。


▼RP"G"でもありません

  RPG一般でいうところのゲーム性というものはありません。戦闘に限らず、厳しい状況下で交渉を強いられるとか、勝利のために戦略を練る、という点で楽しめる内容ではありません。じゃあ、なにが面白いのでしょう?その答えは次で説明します。


▼これは"ファンタジー"です

ファンタジーとは、もはや理では解決できない心のギャップを埋めなくてはならない時に、働く情の力です。

たとえば、前項の紹介文には、舞台が現代日本であるにもかかわらず、「ポラリスへの願い」であるとか「言葉を喋る猫」であるとか、日常のわたしたちの常識とはかけ離れたものが、さも存在するかのように記されています。もしも、シナリオ中にこれらのものが存在すると言われたら、あなたはどうするでしょう?ちなみに、マスターに理由を問いただしても、「さぁ、なんででしょうねぇ?」としか答えてくれません。

筋が通らないと怒り出す人がいるでしょう。確かにこのままだと大抵の場合、マスターの方が悪いです。私だって多分、怒ります。

中には、猫が言葉を話す理由として、物語を一つ、自分で考えてしまう人もいるでしょう。その人はきっと物語が大好きなんですね。

では、そのように理由を考えることそれ自体がセッションの目的であればどうでしょう?

 

あなたが日常から離れたファンタジーというものを(例えば本で読んで)納得するとき、そこには必ず理由があります。筋が通らない、普通なら意味をなさないような話が意味をもつ理由は、そこに意味を見出したあなた自身の中に見つけることが出来ます。例えば、「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)ならば、少年ジョバンニの経験した出来事が示唆に富んでいればこそ、そこに意味を見い出す多くの人々によってファンタジーとして受け入れられていると言えるでしょう。

もちろん、この力はいつも働くというわけではありません。ファンタジーの題材が示唆に富み、人それぞれの心の琴線に響くものでないと、ファンタジーは力を失って、単なるヨタ話となってしまいます。

このセッションは、前項で簡単に紹介されているような、不思議な出来事について、「プレイヤー」自身が納得できるように理由づけてもらうことが目的です。いわば、「ファンタジーの種」です。そんなシナリオですから、できるだけ多くの人の心に引っかかるような物語を用意したつもりです。あなたの分身が中学三年生であることは、あなたを制約するかも知れませんが、解放する部分もまたあるでしょう。物語には物語らしい非日常はつきものですから、あなたの納得のゆく範囲で、精神年齢のことは考えなくて良いと思います。その上で、制約が多いと感じてしまう方は、残念ながら、今回は参加されないほうが良いと思います。

もちろん、これは小説でもなんでもなく、セッションという形をとっていますから、あなたは積極的にNPCに話しかけることができますし、他のアクションを起こすこともできます。それは、あなた自身が納得を得るためにとても大事なことです。腕に自信のある方は、テーマに沿う形でどんどんオリジナルの物語を絡ませても良いでしょう。それでこそ、ファンタジーとして不完全でしかないRPGのシナリオが、ローカルなコミュニケーションの優位性をもって、プロフェッショナルの紡ぐファンタジーにも迫ることが出来るのではないかと私は考えています。

いわゆるゲーム性はありませんし、交渉なんかが苦手な人もやりやすいと思いますが、毎度、しっかり悩みぬいて答えを出して下さる方が多いことを考えると、楽しめる要素は多いのではないかと思います。

いままで参加したことのない方は、なんかあまり顔の知らんマスターだと思いますが、こわくないので一度、覗いてみてやって下さい。

参加したことのある方は、上でいろいろ言ってますが、ようするにいつもの感じですんで、どうぞふるって御参加くださいね。


夜光性歌劇へ
寿琅啓吾 <soga@summer.nifty.jp>