B-Roadsにおいては魔法の効果は一定でないので、その都度GMもしくはプレイヤーが考えなくてはなりません。その際、効果の具体的な魔法(例《巨石を宙に浮かべる》《湿った木屑に火をつける》など)ならば、情景描写が楽なのですが(先ほどの例ならば『あなたの目の前の巨石はゆっくりと地面から浮かび上がりました。』『木屑の中に小さな赤い火がともったかと思うと、それはポッと音をたてて瞬く間に大きな炎となりました。』)つねにそう具体的であるとは限りません。
例えば、「頭の中にうかびあがった『金』『紫』『火炎(正位置)』『馬(正位置)』のイメージを目前の敵に攻撃の意志を持ってぶつける」などという場合に、数値的な効果が「敵に肉体的ダメージ2d6を与える」であるとしても、その効果がどのようにしてもたらされるのかを決定するヒントが少なすぎます。『金』があるから「炎によるダメージ」でしょうか、それとも『金』と『紫』で「熱風によるダメージ」でしょうか・・・・?
そこで、このような場合に《具体的なヒント》を得る方法として以下のようなものを提案したいと思います。
魔法を使用した場所の『地縁』からヒントを引き出します。
(場所と『地縁』との対応はB-Roadsルール(p.8)にあります。)
《魔法演出表》を見ると(新しいウィンドウを開くと見やすいでしょう。)「1.視覚的効果」「2.聴覚的効果」「3.嗅覚的効果」「4.触覚的効果」の四つがあり、それぞれ左の列に『地縁』が書いてあります。『地縁』の右にはそれぞれの『地縁』に対応した《具体的なヒント》が書かれています。
魔法を使った場所と関わりのある『地縁』に対応した《具体的なヒント》をもとに、魔法の具体的な効果を決定します。ヒントには「1.視覚的効果」「2.聴覚的効果」「3.嗅覚的効果」「4.触覚的効果」の四つが用意してあります。
例えば、先ほどの「敵に肉体的ダメージ2d6を与える」魔法を街で使ったとします。
街に対応する『地縁』は『石』がいいでしょう。
そして「視覚的効果」を決めるなら《表1.1》か《表1.2》を参照します。
ここでは《表1.2》の『石』を参照したとします。
そこには
以上のように、《魔法演出法》に記されたヒントから使えそうな記述を抜き出して応用すれば、魔法の具体的な様子を描写するのがやさしくなると思います。
魔法の効果の意外性を高めるなら『地縁カード』を使うといいでしょう。F-Roadsのゲームマスターズセットに付属している『地縁カード』のブランクカードに《魔法演出表》の内容を書き込みます。どんな風に書き込むかは自由です。いずれにせよ、魔法を使うときはその場所に関係のある『地縁カード』をひいて、そのカードに書かれているヒントをもとに、魔法の具体的な効果を考えます。カードを引くのはGMでもプレイヤーでもかまいません。
カードに書かれている内容を「魔法を使おうとした瞬間にPCの頭に想起されたイメージ」という扱いにして、それをヒントにプレイヤーに魔法の効果を考えさせるのも楽しいかもしれません
キャラクターの『地縁』に対応した《具体的なヒント》をもとに、魔法の具体的な効果を決定します。それ以外のところは「1.その場所の『地縁』からのヒント」と同じです。
『地縁』などは無視して、魔法を構成しているパワーソースに対応するヒントを使います。
《魔法演出表》の『地縁』の隣には( )内にパワーソースが書いてあります。先ほどの「敵に肉体的ダメージ2d6を与える」魔法ならば《『光』(金)》と《『空/風』(紫)》に対応するヒントをもとに、魔法の具体的な効果を考えます。
●地縁とパワーソースとの対応はB-Roadsの《キャラクター誕生表》の記述から推測したものです。それぞれの『地縁』によって加わるスィーラの『加護』の違いを比べてみてください。
●表の内容はF-Roads『剣と魔法』を参考にしています。内容はどんどん追加してゆくと良いでしょう。
●わたし自身、B-Roadsのウリは「あいまいさ」であると思うので、上記の1.2.3.4.を適当に混ぜて使うくらいがちょうどいいと思います。
1.視覚的効果
実像/虚像。像の色はソースの色に従うことが多い。
ただし「緑」は「銀」で代用可。(注1)
1.1と1.2の組み合わせも考えられる。
(例えば赤なら斧を持った巨人、とか)
1.1 生物
地縁(パワーソース) | ヒント |
---|---|
『石』(赤) | 戦士 鍛冶師 地を歩く獣(特に熊) 小人族 巨人族 |
『海』(青) | 魚介類 人魚族 海草 妖精族 |
『光』(金) | 魔法使い 小人族 人間の若者 |
『空/風(注2)』(紫) | 鳥(特に鷲や鷹) 旅人 狩人 吟遊詩人 農民 |
『森』(緑) | 常緑樹 花 果実 幽魔 半妖精 エルフ |
『聖(注3)』(白) | 一角獣 幼児 処女 賢者 妖精族 薬草 |
『闇』(黒) | 鬼族 妖魔 黒龍 (亡霊) |
『氷』(混) | 老婆 昆虫 蛸 狂人 幽魔 魔族 |
『南西海(注4)』(無) | 老人 子供 |
1.2 無生物
地縁(パワーソース) | ヒント |
---|---|
『石』(赤) | 山 鉱石 宝石 金属 岩 土 斧 槌 鎧 錆 |
『海』(青) | 海 水 霧 露 泉 波 氷 酒 油 |
『光』(金) | 炎 光 ランプ ロウソク 血 |
『空/風(注2)』(紫) | 矢 風 虹 雪 稲妻 楽器 羽根 |
『森』(緑) | 月光 銀 |
『聖(注3)』(白) | 大理石 円柱 光球 |
『闇』(黒) | 骨 毒 酸 闇 煙 爆発 |
『氷』(混) | 髪 蜘蛛の糸 触手 壷 トゲ 粉 氷 |
『南西海(注4)』(無) | 天体 都市 道 砂漠 |
実音/空耳。
個人に対して/場所に対して。
地縁(パワーソース) | ヒント |
---|---|
『石』(赤) | ガンガン ドンドン ガラガラ バラバラ ドシン |
『海』(青) | サラサラ チョロチョロ ピチャピチャ ザアザア ジョロジョロ ビシャビシャ |
『光』(金) | パチパチ パーン バーン ドカン ボウボウ |
『空/風(注2)』(紫) | ゴオゴオ ビュウビュウ ヒュウヒュウ ピイピイ |
『森』(緑) | カサカサ ガサガサ |
『聖(注3)』(白) | ガランガラン(鐘の音) |
『闇』(黒) | ガラン パン バン ドン パリン バリン |
『氷』(混) | パリパリ バリバリ |
『南西海(注4)』(無) | 波の音 無音 |
3.嗅覚的効果
地縁(パワーソース) | ヒント |
---|---|
『石』(赤) | 穀類 土 陸の獣 |
『海』(青) | 潮 |
『光』(金) | 柑橘類 |
『空/風(注2)』(紫) | 風に運ばれてきたなにかの香り |
『森』(緑) | 樹木 |
『聖(注3)』(白) | イニア、その他の薬草 寺院 |
『闇』(黒) | 腐食物 墓地 |
『氷』(混) | 名状しがたい香り |
『南西海(注4)』(無) | 無臭 |
地縁(パワーソース) | ヒント |
---|---|
『石』(赤) | ざらざら ごつごつ |
『海』(青) | つるつる ひんやり |
『光』(金) | 熱い |
『空/風(注2)』(紫) | つかみどころのない |
『森』(緑) | かさかさ |
『聖(注3)』(白) | 心地よい |
『闇』(黒) | 痛い 刺すような |
『氷』(混) | 冷たい ぬるぬるとした |
『南西海(注4)』(無) | はかない |
《魔法演出表の注釈》
(注1)メディートが月と関係あるせいか、
ユルセルームでは「緑」と「銀」との関わりが深いと思います。
(注2)正確には『地縁』ではありません。
これは「空が見える」もしくは「風が吹く」場所ならば適用しても良いでしょう。
(注3)正確には『地縁』ではありません。
これは「イーヴォの力を強く受けた聖地」であれば適用しても良いでしょう。
(注4)正確には『地縁』ではありません。
これは「三千と一つの島々」であれば適用しても良いでしょう。
初出 京都大学RPG研究会会誌"FANATIC WORKS"第弐号