7年前ほど前のことである.コーヒーとコーラはどうやって選ぶことができるのか,2つのうちどちらかを選ぶということがどうやって可能になるのかということを考えていた.年をとるとつまんない考えもでてきます.どっちが体にいいか,とかね.選択に好み以外の基準を導入するのは楽でいけない.
「プリンばっかりで飽きないの?」
「飽きませんよ.呼吸するのに飽きないのと同じです.好きだというより習慣なんですよね.プリン食べるの」
(3巻,p.216)
メタボなおなかをしてる人はやっちゃいけないと頭では判ってるんだけど,僕は sense off 以来あいかわらずモンブランを食す.好きだというより,習慣なんです,なんてね,そういう態度は恋愛の前で崩れざるを得ないというお話.likeなのか loveなのかなんてのは体が突き動かす.ちょっと待って,四十五秒だけ考えさせてください(同,p.245).最後の抵抗,そして,溢れだす.ファンタスティックな1巻,理屈の2巻,こぼれる,溢れる3巻という結果的には見事な構成.
余談ながら,3巻も1巻に引き続き昼ご飯を食べる場所に困る人の話.どうして家の外で食べる昼ごはんってこんなに特別なことになっちゃうんだろうね.誰と食べるとか,どこで食べるとか.
で,風子は階段でお昼を食べる.階段を定位置にするような性向は大上君に言わせれば肉食動物みたいということである.一匹狼ということなんだろうけど,望むと望まざると誰かを待ち伏せているように見える,やって来た者が必ず意外な遭遇をするという点においてもそうね.階段というのは地味な蔭だけれど必ず人の通り道なのである.あんまり板につくと,シムーン第20話のパラ様のようにみんなそこにパラ様がいるもんだと思ってやってくるのであるけど,あれはちょっと可笑しくていい.風子も大上君にバレていたように,階段に座るということは本人が思っている以上に目につくものなのである.
先輩につきましては,ファンタスティックな貴方はケーキの食べすぎとかで思い切りでぶるとよいと思います.幸せはたぶんそこに.あと間宮さん,会長に誘われたんだからもうちょっと着てく服考えようよ,とは思った.あるいはテンパって変な服になってしまったのか.ともあれ,あの四十五秒はいい.風子には良かったねぇ,と.
好きか恋か,ていうのは考えてるうちにいつのまにか結婚した後のことまで想像が飛んじゃって二人の生活をいろいろ心配してしまうよな勢いが自分の内にあるかないかが基準であるなぁ.えろい切ない勢いというのもあるけど,それはまた別の話ということにしてる.ひとつの場所に居ることのない移動してばかりの生活で,周りの人もそんなものだから,ずっと一緒にいたい,というのは空間的な距離の意味ではもうよく判んない.だから,人工衛星の軌道要素について,というのはちょっと判る.
(2007/8/27)
「例えばの話なんだけど」
「例えばの話ですか。ふんふん」