Открой
своё
сердце

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Таня
Липинский
ターニャ・リピンスキー
アトクロイ スワヨー セルツェ


これは、ロシア語歴三日の不良生徒、夏町が、ターニャ先生のロシア語の授業を聞きとったノートです。というわけで、内容には私が聞き間違えた可能性がありますが、お気づきの方は、私までご一報いただけると嬉しいです。

ターニャのロシア語入門:第二回

Татьяна Владимировна Липинская
「タチヤーナ・ヴラジーミラヴナ・リピンスカヤ」?



「ズドラーストヴゥイ、ターニャ☆」

「ズドラーストヴゥイ・・・銅貨さん。この前はどうも有り難うございました」

「ターニャのご両親に会えて、とても嬉しかったよ。それに、ナホトカってとってもいい街だったね。近いんだし、また何度でも行こう」

「はい。今度は銅貨さんの故郷にも連れてって下さいね」

「うん・・・だったら次の休みの日、空いてるかな?」

「そういえば、ちょっと不思議に思ってたことがあるんだけど、」

「なんですか?」

「ナホトカで、ターニャのことを何だか違う名前で呼ぶ人がいたような気がするんだけど、よく聞きとれなくてさ。ロシアでは何か名前の発音とかが違ったりするのかな」

「あっ、説明してませんでしたね。日本ではずっと"ターニャ・リピンスキー"だって言ってましたから」

「同じ姓でも、自分が男の場合はリピンスキー(Липинский)で、女の子の場合はリピンスカヤ(Липинская)に変わるんだって前に教えてくれたけど、またそれとも違うんだよね」

「そうです。それじゃ、はじめからきちんと説明しますね」

「ロシアでは名前が三つの部分からできているんです。 はじめに『名前』がきて、その次に『父称』、そして最後に『姓』で終わります」

「『名前』と『姓』は日本と同じだよね。僕なら名前が"銅貨"で姓が"夏町" (^^; ・・・でも『父称』って何だろう」

「『父称』というのは、お父さんの名前からつけられるもので、誰の子供かってことを表すんですよ」

「ロシアは父権社会、ということかな」

「伝統的にそうみたいですね。それで私の父の名は、英語風だとヴラジミール(Vladimir)、ロシア語で言うとヴラジーミル(Владимир)ですから、私の『父称』はヴラジーミラヴナ(Владимировна)になります」

「"ヴラジーミルの娘"って意味かな?」

「はい。男だったら、ヴラジーミラヴィッチ(Владимирович)で"ヴラジーミルの息子"って意味になります。父称も姓も、自分の性によって語尾が変わるんですよ」

「そうだ、思い出したよ。確かあのときは、なんとかヴラジーミラヴナ、って呼ばれてたんだ」

「目上の人や親しくない間柄では、普通、『名前』に『父称』を続けた名前で呼ぶんです」

「だったら、"ターニャ・ヴラジーミラヴナ"になるのかな? ちょっと違ったように思うんだけど」

「ターニャ、というのは愛称なので、名前とはまた別なんです。実は、私の本当の名前はタチヤーナ(Татьяна)っていうんですよ」

「うわっ、知らなかった。タチヤーナの愛称がターニャだったんだ・・・」

「だから、銅貨さんが聞いたのは、たぶん『タチヤーナ・ヴラジーミラヴナ』という呼び名だと思います。でも、ロシアで一番よく使われるのは愛称のほうで、ちょっと知り合っただけでもすぐに相手を愛称で呼んだりします。だから私のことはたいてい"ターニャ"のままでいいんですよ」

「あれ、そういえばリピンスカヤ、っていう姓のほうは使わないの、」

「ロシア人の間では、めったにその姓を呼ばないんです。ただ日本人に紹介されるときは、日本風に『名前』と『姓』で呼ばれるものですから、私も同じようにしています。たとえば、あの有名なミハイル・ゴルバチョフさんも、ロシアでは普通、ミハイル・セルゲーヴィッチさん、と呼ばれてるんですよ」

「フルネームは、ミハイル・セルゲーヴィッチ・ゴルバチョフというわけか・・・そろそろまとめないと訳がわからなくなってきたよ (^^; じゃあ、ええとターニャのフルネームは『タチヤーナ・ヴラジーミラヴナ・リピンスカヤ』になるんだよね。それで、あまり親しくない関係の人だったら『タチヤーナ・ヴラジーミラヴナ』、友達だったら『ターニャ』って呼べばいいわけなんだよね」

「そうです。これでもう今度ナホトカに行った時は大丈夫ですね。でも、ロシア人の名前ってそんなに数がなくて、ターニャっていっても近くに何人もいたりするんです。だから『ターニャっていっても、一体、どのターニャなの?』って聞かれるかもしれませんよ」

「・・・ああ、いい湯かげんだ。今日もターニャに会えたからいい日だったな。でも、ターニャのこと結構知ってるつもりだったのに、名前さえも知らなかったんだなぁ・・・反省。でも、タチヤーナ・ヴラジーミラヴナ・リピンスカヤっていうのは、ターニャのお母さんが再婚する前の名前なわけだけど、今のターニャはお父さんの名前が変わったから、姓も父称も変わっちゃうんじゃないのかな。それとも姓は変わるけど、父称はそのままでいいのかな。少なくとも、日本では父称がないから"ターニャ・リピンスキー"のままにするみたいだけどね。今のお父さんと仲直りしても、ガラス職人としての生みの父に対しては、そうすることでずっと敬意を表し続けたいそうだよ」

参考図書

  • エクスプレス ロシア語(桑野 隆、白水社)
  • 羊皮紙に眠る文字たち スラブ言語文化入門(?、? また調べてきます)

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夏町 銅貨