屋上の王国


1999年の空の深い秋の昼に


それはとても奇妙な光景だ。
こんな時、普通、
女の子が男の子のために
腕を奮うのではなかったろうか。

それに、瑠璃子さんは、
けしてお弁当に手を付けない。
僕のお手製だけど、
不味くないという自信はあった。
それでも、
膝に白のランチボックスを乗せたまま、
虚ろな瞳は高い空を見上げるばかりで。


瑠璃子さんがものを食べるのを
見ることができたなら、
日常を取り戻せると思った僕の浅はかさだった。






1999年の空の落ちる秋の夕暮れへ・・・


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