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CloverPaint version 1.05 ダウンロードおよび取り扱い説明書

概要: Linux ザウルス用のペイントソフトです.(無償配布)

対応機種: SL-C750,SL-C760,SL-C860,SL-C700(レイヤの枚数に制限あり),SL-6000,SL-C3000,SL-C1000, SL-C3100
(SL-A300,SL-B500 では残念ながら動作しません.)


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1. 動作条件・ダウンロード

ダウンロード

-- CloverPaint version1.05(cloverpaint_1.05_arm.ipk)(2005/8/5)--

ver1.05

・Color合成の計算式の誤りを修正.
・白色をMultiple合成した場合の結果を改善.
・Save Layer...の仕様を変更.透明度を持つピクセルは白地へ合成してから保存するようにしました.


2. 起動方法


3. ペイント機能

3.1 ツールバー

ツールバー

1. レイヤボタン
 レイヤパネルを開閉します.分数の分母はレイヤの数,分子は現在選択されているレイヤが下から何枚目であるかを表示します.
 カンバスがQVGAサイズの際は,分母に"q"が表示されます.

2. 描画・消しゴム切り替えボタン
 ペンなど描画用のツールと消しゴムツールとを切り替えます.

3. ツールサイズボタン
 ツールサイズパネルを開閉します.アイコンには現在のツールの大きさが表示されています.

4. 手のひらボタン
 手のひらボタンが押されている間は,カンバスをスタイラスでなぞるとカンバスの表示範囲がその方向へ移動します.
 ズーム倍率がx1のとき,表示範囲を標準位置へ戻したい場合はズームパネル(5.のズームボタンで開閉)から"x1"を選択してください.
 なお,ザウルスのサイドパネルについているカーソル上を押すことによってもオンオフすることが出来ます.

5. ズームボタン
 ズームパネルを開閉します.

6. 彩度・明度選択ツール
 描画用ツールの前景色の彩度と明度を選択できます.左右方向が彩度,上下方向が明度です.

7. 掛け網ボタン
 掛け網パネルを開閉します.アイコンには現在の掛け網が表示されています.

8. スポイトボタン
 スポイトボタンが押されている間は,カンバスをスタイラスでなぞるとその位置の色を描画用ツールの前景色に設定することができます.
 (レイヤの透明部分の格子模様も含め,見えている色をそのままスポイトで取得します.)
 なお,ザウルスのサイドパネルについているカーソル下を押すことによってもオンオフすることが出来ます.  
 スポイトで色を取得する際,内部の24bitカラー表現では微小に色の誤差の生じることがあります(RGBそれぞれ0から255ポイントの値を取るとしたとき,各色最大2ポイントの誤差).ザウルスの液晶は16bitカラーまでしか表示できないためこの誤差は滅多に目には見えませんが,均一の色で塗ることを重視される方はカラーパレット機能を活用してください.

9. 前景色・背景色ツール
 左上に現在の描画用ツールの前景色,右下に背景色を表示しています.通常は前景色がカンバス上に塗られます.また,本ツールをスタイラスでタッチすると前景色と背景色が入れ替わります.

10. 描画色表示
 前景色,不透明度,掛け網,背景色を反映した後の描画色の見た目を表示します.描画用ツールが消しゴムの場合は白を表示します.
 この領域をクリックすると,「カラーパレット」を開閉できます.

11. Undo・Redoボタン
 直前の描画を取り消します(Undo).その直後にもう一度押すと,描画をまた復活させることができます(Redo).描画中のレイヤを変更した時や,レイヤの結合,レイヤの削除に対しては無効なのでご注意ください.

12. ファイルメニューボタン
 ファイルメニューパネルを表示します.

13. 色相選択ツール
 描画用ツールの前景色の色相を選択できます.

14. ツールの合成モードボタン
 描画用ツールの合成モードパネルを開閉します.

15. 描画用ツールボタン
 描画用ツールパネルを表示します.

16. 選択ボタン
 選択パネルを表示します.

17. ルーペボタン
 ルーペパネルを表示します.

18. ツールの不透明度・減少ボタン
 描画用ツールの不透明度を1%減らします.

19. ツールの不透明度選択スライダ
 描画用ツールの不透明度を選択します.

20. ツールの不透明度・増加ボタン
 描画用ツールの不透明度を1%増やします.


【キー入力】

*,E/J,辞書
 ザウルス本体にある拡大ボタン,翻訳ボタン,あるいは辞書ボタン.ViewStyleの画面左下にある「*」マークです.C860の場合は「E/J」マークです.
 SL-6000の場合は,ザウルスの設定画面で"アドレス帳"ボタンに拡大を割り当ててご利用ください.
 画面上のツールバーとパネル全体の表示/非表示を切り替えます.
 ザウルスのキー設定で「*」を「拡大(Fn+2)」以外に割り当てていると動作しません.

・本体脇のOKボタン:ツールバー位置上下切り替え

・本体脇のカーソルキー(上):押すごとに「手のひら」をオンオフ切り替え.

・本体脇のカーソルキー(下):押すごとに「スポイト」をオンオフ切り替え.

・Cancelキー:CloverPaint終了

3.2 各パネル共通

共通パネル操作

(パネルによっては以下の機能を持たないものもあります.)

1. 最小化ボタン
 現在のパネル位置を記憶してパネルを非表示にします.ツールバー上のボタンを押すことによって再表示できます.

2. クローズボタン
 現在のパネル位置を破棄してパネルを閉じます.再び開いたときにはパネルは標準位置に戻っています.

3. フロートバー
 スタイラスでフロートバーをなぞるとパネルがフロート状態となり,移動させることができるようになります.

 パネルがフロート状態でない場合,パネル上のボタンを選択するとパネルは自動的に閉じられます.ただし,一部例外があります.

3.3 レイヤパネル

レイヤパネル

レイヤはアニメのセルを重ねたような効果を出すことが出来ます.個別のレイヤに色を塗ると,下から順に重ねた結果が表示されます.上の図では下からBackground, Layer 29, Layer 30, Layer 31 の順で4枚のレイヤが重なっています("Layer 30"などのレイヤ名は,これまでに作成したレイヤの通し番号です).レイヤは透明のセルで,塗られた色の不透明度の分だけ不透明になってゆきます.ただし,一番下のBackgroundレイヤだけは画用紙のように透明度を持ちません.

またこれとは別に,Background以外のレイヤはレイヤの不透明度設定を持ちます.例えば,レイヤのある点Aに塗られている色が70%の不透明度で,点Bに塗られている色が50%の不透明度の場合,レイヤ全体の不透明度設定を30%にすると,0.7×0.3=0.21,0.5×0.3=0.15 という計算式より,最終的に点Aは21%の不透明度として,点Bは15%の不透明度として目に見えます.

1. 選択中のレイヤ(色が反転)
 描画用ツールによる変更は選択中のレイヤに対してのみ行われます.

2. 可視/不可視切り替えボタン
 レイヤの可視と不可視とを切り替えます.

3. 合成モードボタン
 合成モードパネルを開閉します.

4. Background(背景)
 不透明度をもたない特殊なレイヤです.常に一番下にあり,上下への移動や削除ができません.

5. レイヤの追加
 選択中のレイヤの上に新しいレイヤを追加します.5枚になるまで追加できます.
 合成モードは前回追加したレイヤと同じものが設定されます.  

6. レイヤの複製
 選択中のレイヤのコピーを追加します.5枚になるまで追加できます.

7. レイヤの消去
 選択中のレイヤに塗られた色を全て消去し,透明にします.Backgroundの場合は白になります.

8. 可視レイヤの結合
 現在,可視状態にあるレイヤを結合して一つにします.一番下にある可視レイヤへ他の可視レイヤが結合されます.この操作はUndoできません.

9. レイヤの削除
 選択中のレイヤを削除します.この操作はUndoできません.またBackgroundは削除できません.

10. レイヤを上へ移動
 選択中のレイヤを一つ上へ移動します.

11. レイヤを下へ移動
 選択中のレイヤを一つ下へ移動します.

12. レイヤの不透明度・減少ボタン
 選択中のレイヤの不透明度を1%減らします.

12. レイヤの不透明度選択スライダ
 選択中のレイヤの不透明度を選択します.

14. レイヤの不透明度・増加ボタン
 選択中のレイヤの不透明度を1%増やします.

3.4 ツールサイズパネル

ツールサイズパネル

 描画ツールのサイズを選択します.右列上から,直径1,2,4ピクセル,左列上から5,7,17ピクセルです.

3.5 ズームパネル

ズームパネル

 画面全体を選択した倍率で拡大します.左上の「中心決定ツール」が選択状態にあるときにスタイラスでカンバスにタッチすると,その点を中心にズームします.このときズーム倍率は前回ズームした倍率になります.

3.6 掛け網パネル

掛け網パネル

 掛け網を選択します.一番下の行のボタンは掛け網の背景色の有無を選択します.右のボタンを選択すると背景が透明の掛け網になります.左のボタンを選択すると背景に背景色を用いた掛け網になります.

3.7 ファイルメニューパネル

ファイルメニューパネル

ファイル名に日本語を使うことは出来ません.アルファベットと"_"(アンダーバー), "-"(ハイフン)のみが利用できます.日本語を使った場合,日本語を含む以降の文字は無視されます.

3.8 選択パネル

選択パネル

3.9 ルーペパネル

ルーペパネル

ルーペパネルは画面の一部分を拡大表示したものであり,ドット単位での描画が容易になります.拡大する部分はスタイラスでカンバスをタッチして決定してください.拡大倍率はx4, x8, x16から選んでください.カンバスサイズがQVGA(240x320)の場合はx2,x4,x8から選んでください.

ルーペパネルを開いたまま保存すると,保存後,ルーペ画面が再描画されません.お手数ですがルーペを閉じてもう一度開いてください.

3.10 合成モードパネル

合成モードパネル

レイヤの場合,下のレイヤに対する重ね合わせ方法を指定できます.
描画用ツールの場合,現在選択中のレイヤの色に対する色の重ね合わせを指定できます.

各モードの特色については,某信者さんのページ未識魚さんのページで判りやすく説明されています.
また計算式についてはGrokking the GIMP(英語です)も参考になります.

Photoshopの合成モードとの相違点

Screen, Lighten, Hue, Saturation, Color, Brightness, Burn, Dodge を指定した場合,CloverPaintでは何も描かれていないレイヤ(Backgroundを非表示にしたとき完全に格子模様が見える状態)に対しては描画しません.PhotoshopではNormal扱いで描画されますのでご注意ください.

3.11  描画用ツールパネル

描画用ツールパネル

現在の描画用ツールを選択できます.

各種ツールの描画結果は不透明度選択スライダの影響を受けます.ぼかしツール(強)は指先ツールとぼかしツールを合わせたような効果を持ちます.隣接する色への影響がかなり大きいため,30%以下で使うことがほとんどでしょう.

3.12 カラーパレットパネル

カラーパレットパネル

よく使う色はこのカラーパレットへ登録することによって,簡単に取り出すことが出来るようになります.

・登録方法:
登録したい色を彩度・明度・色相選択ツールを用いてあらかじめ作成してください.その後,左下のインク瓶ボタンを押してからカラーパレット上の任意のマスをクリックすると,その場所に新たな色が登録されます.

右のスポイトボタンが押された状態になっている間は,任意のマスをクリックすることによって,その色を現在のペンの色とすることが出来ます.


4. FAQ

5.  バージョン履歴

ver1.04

・Backgroundレイヤで不透明度100%のペン描画の際,色の誤差が出ていた点を修正.
 またレイヤ上で色が消されて完全透明になった場合の処理を改善.
 (いずれも結果的にバケツツールのバグ修正になっています.)
・QVGAモードにおける画面端でのぼかしツールの結果の誤りを修正.
・初めてSave...を選択し,ダイアログをキャンセルすると,次回以降,ファイル名を尋ねるダイアログの出ないバグの修正.
・カンバス全体をずらしている際に保存すると画像もずれたまま保存されることがあったバグの修正.
・VGAモードからQVGAサイズのCPF画像を読み込んだ際に,ルーペの倍率表示部がQVGA仕様にならないバグの修正

ver1.03

・「掛け網」でバケツツールを使った場合に,うまく塗りつぶされない/フリーズするバグの修正.
・中心決定ツールの適用結果が等倍になることがあるバグの修正.
・QVGAモードでズームパネルがフロート状態のとき,中心決定ツール使用時に倍率表示のずれるバグの修正
・C700でメモリが足りない問題にも対処したつもりですが,どうでしょうか?

ver1.02

・非選択状態のレイヤの可視不可視を変更するとUndo時に画像がおかしくなるバグの修正.
・Load Layer...で落ちるバグの修正.
・中心決定ツール使用直後にレイヤ番号やca表示が消えるバグの修正
・C700でSWAPを用いない場合には起動できない,あるいはメモリ不足でレイヤを追加できないとのご報告を1件頂いています.

ver1.01

・ColorAdjustの効果が既に画面へロード済みの画像には適用されなかったバグを修正.

ver1.0

▼新機能

【1】 表示色調整ソフトZColorAdjustに対応.PCのモニタで表示した場合と近い色で作業できるようになります.
・Fileメニューの[ColorAdjust]でオン・オフしてください.
・LinuxZaurusの液晶画面は明るい色に対して色調再現性が低いので何とかしてほしいというご要望にお応えしました.

【2】QVGAの画像サイズに対応
・Fileメニューの[New QVGA]を選択してください.QVGAの画像サイズでペイントおよびファイル読み書き可能になります.
・VGAはPDAで絵を描くには大きすぎるという数多くのご要望にお応えしました.

【3】レイヤの読み込み,書き出し
・Fileメニューの[Load Layer...]で現在選択されているレイヤに画像を読み込みます.
・Fileメニューの[Save Layer...]で現在選択されているレイヤを保存します.
・ただし,レイヤの透明部分には対応していません.(つまりピクセルのアルファ値は失われます.)
・レイヤを書き出して他グラフィックソフトでフィルタ処理した後にまた戻したいというご要望にお応えしました.

【4】カラーパレットの追加
・よく使う色をカラーパレットへ登録できるようにしました.

【5】バケツツールの追加
・塗りつぶし用のバケツツールを追加しました.

【6】手のひらツールをカーソル/ジョグの「上」でトグル動作するようにしました.

【7】ぼかしツール(強)を追加し,また通常のぼかしツールの効果も強力にしました.


▼変更点

・スポイトのオンオフはカーソル/ジョグの「下」でトグル動作するようにしました.
 押しっぱなしにする仕様からの変更です.反応が悪いのと,押しっぱなしは指が痛いというご意見があったためです.
・ツールバーの上下移動は「OK」ボタンで行うように変更しました.
・レイヤの可視状態変更時にそのレイヤが選択されないようにしました.

▼バグ修正

・レイヤをクリア→なにか描く→undoすると、新しく描いた部分以外の領域でクリアした画像が復活してしまうバグの修正.
・起動時にレイヤの透明度が適用されないバグの修正.
・レイヤ上で描画部分と透明部分との境目を水滴でぼかすと白色が出てくるバグの修正.
・パネルを移動すると、色相のポインタ位置がリセットされるバグの修正.
・ルーペ上の描画結果が、レイヤパネルの上に落書きされるバグの修正.
・スポイト使用後,色相表示部にゴミが残るバグの修正.
・スポイトで取得される色の精度を改善.
・ルーペ上の色をスポイトで取るとツールバー上のレイヤの番号が消えるバグの修正.
・手のひらツールでカンバスをずらした際にスポイトで正しい色の取れないバグの修正.


▼ 2004/9/12 version 0.6-6 (ベータ版)

▼ 2004/6/19 version 0.6-5 (ベータ版)

▼ 2004/6/13 version 0.6-4 (ベータ版)

▼ 2004/6/6 version 0.6-3 (ベータ版)

▼ 2004/5/29 version 0.6-2 (ベータ版)

▼ 2004/5/25 version 0.6(ベータ版)公開

6. 謝辞

SP48Kさんには各バージョンをテストして頂き,またインタフェース設計に対する有益なアドヴァイスを頂きました.はやしのさんからは演算のテクニックやフルカラーペイントツールの良さについて教えて頂きました.catsinさんからはLinuxザウルス用ペイントソフトに対する幾つかの重要なご助言とご期待とを頂きました.えすともさんさきさきらさんとの議論の中ではLinuxザウルス固有の開発技法について沢山学ばせて頂きました.某信者さん,数々の有用なご指摘およびSL-C700での動作確認有難うございました.また,ざうすけ,PrismPaint,PrismPocketを使って下さった全ての方に支えられてまたこの新たなツールを作成することが出来ました.特に西木史郎さんの精力的なご活動からは刺激を受け,絵師としてもペイントソフトを開発する上でも学ばせて頂くところが多くありました.皆様に心より感謝申し上げます.

2005/5/9 曽我 十郎




since 2002/5/9

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