stair stayer 2003年5月

階段でごはん.


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 本日は大変お世話になりました.猫とかこがわみさきとかFSSとかNOeLとか,非常に楽しくお話させていただきました.誘ってくださったかおるさんに感謝致します.マシュウさんには私の過去が知られていてとても恥ずかしい思いをしました.あと転叫院さんにはあのギャグを褒めてもらえて嬉しかったですよ.プリズマ終わったらまたお話させてください.他の皆様には突然やってきて騒がしくして失礼致しました.でわでわ.

(2003/6/4)


 高橋政輝で送り雛てのは別の縁も感じます.なんにせよ高橋氏の絵は好きだ.鈴木健介の絵も好きなので二粒おいしい.(2003/6/4)


お兄ちゃんが描いた部屋じゅうの星,
拭いてもわたしの背の届かへんところは残ってる.
お兄ちゃんの背が高い分だけ,天の川がぐるり部屋を一周した.

もう梅雨やな.
そやけどここは雨降っても牽牛織女見えたるで.

天のかみさま,あほかみさま.
わたしもあほの川越えてええですか.
お兄ちゃんのところ行ってもええですか.

stair stayer


(「あほのかみさま」終.Zaurus MI-E21 + PrismPocket,2003/6/3)


 末永へ長電話.私は文章も酷いが,喋るとその数倍バラバラで何言ってるか判らない.私の要領得ない話を根気良く聞いて,当たり前のこととか全体の見通しを教えてくれるのにはいつも頭が下がる.

ナージャとステルヴィア見ないと.

(2003/6/2)

 そんな場所にご一緒させて頂いていいのかしらと思いつつ,ぜひそういう方向でお願いします.>某所

(2003/6/2)

 すみません.起きたの昼三時でした.またいずれ・・・.(2003/6/1)

 某氏に会えるかもと思いながらふらふら散歩.タロット占い屋さんへ行くもヒットせず.

占いはたいしたもんで,全部当たってやがります.おおこわ.
語りの猛威っぷりが身に沁みました.やはり初対面で語られる方になるものではないです.
他人には語っても語られるな.でないとまた運命とか感じて惚れちゃうぞ?

貴重な体験をさせて頂きました.
(2003/5/31)

 童話の天文学者

お兄ちゃんが静かになった.
襖を開けたら,そこには部屋が無かった.

海星

わたしのお兄ちゃんは,お星さまになったのだ.

『私は貝になりたい』と,そういうドラマがあったそうだ.
貝だったら深い海の底でへばりついていればいいから
なんの心配もないんだと,お兄ちゃんがわたしに言った.

「お兄ちゃん,あかんで.なるんやったら星になってや.
 そしたらうち,いつでも見てたる.」


ほんまに星になるやなんて,お兄ちゃんやっぱりあほや.
暗い宇宙の天井で,ヒトデみたいにへばりついてはる.

「お星さまはな,人のかたちしてるねん.」

そう言ってお兄ちゃんは,わたしのノートにいっぱい星を描いてくれた.
書きとりみたいに,たてに十ぺんずつ描いてくれた.

これはな,書きとりやなくて書きわりっていうねんで.
いっぱい描かはったなぁ.そやけど変な形ばっかりや.

お兄ちゃん,もうご飯やで.起きてな.
ペンキだらけや.ほんま,くさいで.

(Zaurus MI-E21 + PrismPocket,2003/5/30)


しのぶさん,ご紹介ありがとうございました.
お返事になってるかどうか判りませんが,四葉の声っていうのはいろんな声が交じったものとして聞こえてくるので(公野さんの声,天広さんの声,私の声,同人作家さんの声,日記の人の声,半場さんの声,もしかしたら四葉本人の声),私が書く四葉や兄もどこか分裂した人格を持つように思います.(気味の悪い話に聞こえたらごめんなさい.)

(2003/5/30)


 僕の狸の話(その3)

穴の中では

「四葉のお兄ちゃんって,あほなんやってなぁ.」

そんなん知っとるわ.あほ.

襖の向こうで,お兄ちゃんが何か言ってる.
天使さまと話してはるんやで.


(CLIE T650C + PixMaker for CLIE + Photoshop, 2003/5/27)


 (DALさんとこの掲示板の続き)

(2003/5/27)


 女きょうだい.

初めはとても十二人覚えられるなんて思わなかったけど,いつの間にか覚えてしまっていた.だから,あと十二人くらいはなんとかなるのかもしれない.

ところで四葉にはまあるい眼鏡が似合います.同人誌でよくかけさせる人がいるんだこれが.誰よりも可愛いお目目が強調されるのと,四葉はお子様なので概ねパーツが増えることは可愛いほうにプラスになる.あまりに可愛いのであれは禁じ手だと思います.

京都の通り名のCDが届きました.丸竹夷の子供向けバージョンが素晴らしいです.
「〜御池で出逢うた姉三に,六銭もろうて蛸買うて,錦で落として四かられて〜」
姉さんていうのが,ものくれる,しかる,人だっていうのが,しっくりくるのだよな.
子供心にゃ,そういうことしか覚えてないわけです.

(2003/5/26)


 僕の狸の話(その2)

祐一「ところでコンテクストってどういう意味だ?」
香里「言葉どおりの意味よ.」

(2003/5/26)

 猫

 4月になったばかりの頃,銭湯へ行く道すがら,猫の声を聞いた.
 道端に猫がいた.去年出会った撫でられ猫である.
 去年の春は銭湯からの帰り道,
 僕と目が会うと塀の上のその猫は塀を駆け下りて僕の前に寝転がったのだ.
 猫が寝転がるだなんて,ありえない.
 布団が吹っ飛んだどころでないふざけた事態に僕は混乱しながら,
 恐る恐る彼女の首筋を撫でようとした.(僕は猫に触ったことが無かったのだ.)
 しかし,二度三度撫でると彼女はいやいやをして,ぷい,と去っていってしまった.
 それはいわゆる春でしかありえない出来事で.しかし僕は彼女を満足させることが出来なかったのだ.
 そしてその時,チャンスはまた巡ってきた.
 僕が近づくと彼女は僕の足元にまとわりつき,体を擦りつけた.
 僕は彼女を撫でた.すると彼女はやっぱり,また逃げていった.今年も駄目だった.
 猫すらまともに撫でられない人間が,他の誰に触れることが出来るだろう.
 
 だけど,今年の彼女はしばらく行くと立ち止まり,僕のことをじっと見たんだ.
 僕はゆっくりと彼女に近づいていった.するとまた,彼女は僕の足元にまとわりついた.
 僕が撫でると彼女は逃げて,また立ち止まって僕のことを待つ.
 ついたり離れたり,そんなことを何度も繰り返して,
 僕は一生分くらい猫を触って,気付いた時には見知らぬ場所に居た.
 彼女は花壇の角に腰を下ろし,もう僕のことを見なかった.
 そこは,僕が思っていた場所からは数ブロック離れて,
 方角も見事に90度違っていたのだった.
 都合,街を一周してしまってから,僕は改めて銭湯へ向かった.

 そんな話を後輩にしたら喜ばれて,猫の国に連れてかれるんですよと言われた.
 そういえばそのとき,僕は猫になりたかったかもしれなかった.

 今度こそは彼女に認められたいと思ったけれど,
 来年の春,僕はもうここに居ない.

(2003/5/25)


 やきいも2

一年間! ひな祭り,端午の節句,海,花火,クリスマス,お正月,バレンタインデー,ときたもんだ.後半のものはデートイベントであると誤解されがちであるが,多くの場合,これらも家族の行事である.家族総出で海へ行っただろう.夏には玄関前で花火しただろう.クリスマスは親からプレゼントをもらうイベントだ.お正月にはこたつで年越し,朝には雑煮,バレンタインは姉からチョコレートである.

前作では年越しから正月にかけての兄妹の暮らしぶりが秀逸だった.兄妹で過ごす夜の,ふやけた,ふざけた,喧嘩,欠点だらけの毎日は,じっさいは年に何度かのイベントでしか起こらなくてさ.家族ってそんなにいつも一緒にいないじゃないの.今回の,妹たちと同居生活,というキャッチフレーズのズレ具合はなかなかいい.だって,それって当たり前のことじゃないか.

ワタリベ氏というと僕は忘レナ草のキャラクター紹介が大好きで,ここでは女の子たちの背景が同時に明らかなんです.それぞれの女の子のエピソードにおいて一番面白い部分はのけといて,でも二番目に面白い筋は全部書いちゃっています.そんなことは本の帯とか解説では常套手段だと思うんですが,この,入り口で僕が女の子を選ぶ類のゲームでもさ,僕が女の子を選ぶことによって彼女たちに独自の物語が生まれ,世界が変わるなんてことはないんです.女の子の抱えている問題は常に同時に顕在化して矛盾しない.僕にとって彼女が特別であることは,世界が変わらなくてもただ僕がある女の子の話を選択したことによって決定します.そもそも僕は彼女たちを前にして常に一目惚れを選択するしかないわけで,館林見晴が「一目惚れを信じますか?」って言わずにはいられなかったことこそ,ごく普通であってさ.

一目惚れを肥大化させて宇宙的スケールのロマンとか持ち出したのがsense offで,一目惚れはリアルじゃないと考えたのがセンチで.それでも僕は,例えば七瀬優を選んだ理由が彼女との過去によるものだとは思わなくて,むしろ,始めにプロフィールなりを読んで顔を見て彼女を選んだから,彼女のことを探索して彼女を好きになることが出来たと思う.次は誰を攻略しようかなって,はじめに選ぶじゃないか.だからネクストキングでははじめフェンネルに貢ぎながらも途中カモミールに浮気してしまって,後でテレビ画面に向かって土下座して謝る破目に陥る.謝らなくちゃならない気分になる信義の問題とかさ,はじめに選んだ子のことはどうしたって気にかけずにいられない.sense offについては,一目惚れが過去的に認識されてしまうこと,「あなたとは初めて会った気がしないわ」なんてこっ恥ずかしいことを大声で言えなくて,全力疾走で回り道してる姿が大好きなんです.だけど,この街,この地上の話をしてくれる分にはよく判るんですが,宇宙的スケールの思惟なんたらが出てくる人たちについては妄想が逞しすぎて僕にはついてゆけません.そういうわけで僕は透子といかなる形の過去をも共有することが出来ませんが,それでも僕は,透子のことを好きになってしまいました.

誰もが信用してる透子の言葉を僕が信用できないのはきっと僕の勝手で,それでいて好きだなんて,ほんとうにごめん.だけどさ,降って沸いてきたような彼女の語る過去物語を,信じるとか信じないとか決めることが出来るのは,僕が女の子を選んだことが,他のなによりも先行しているからなんだ.女の子の言うことを信じなくてもいいだなんて積極的には思わないけれど,それにしたって,君はどうして彼女たちの言うことを信じてあげることが出来たんだい.それは物語を読むときに先行する何かのためですか.信じることの妥当さを物語に帰属させるのか,作者に帰属させるのか.いや,そのどちらでもなくてさ.

それは彼女を選んでしまったということなんだ.僕が彼女のことを選ぶのは物語の最後じゃなくてずっと最初のほうだ.そうして,彼女のことどうして信じるのか信じないのかは判らないけれど,選んだからこそようやく信を問う関係が生まれて,選ばなければ直面しない.そして全てが終わった後で,僕に確固たる信念をもたらしていたことが,彼女を好きだったってことなのだと振り返ることが出来たときこそ,僕は美少女ゲームのことを恋愛ゲームだって呼んでもいいように思う.

(2003/5/25)


 僕の狸の話

狸は化けるものよ.ぽんぽこりん,とつづみを打てば,
「お前ら同じ穴の狢だ」(共通の文脈を持つ幸せそうな人たちを指して)
「この狸おやじめ」(文脈を自在に渡り歩くかしこい人を指して)
「この狸憑き!」(ただの村八分だ.)
僕はアナグマになって穴熊囲いの中で一生暮らしたいのだけど,
なにか憑かれているような気がして仕方ないので,
熱したり冷ましたり眠らなかったり痛くしたり,ついには書いたりするのです.
僕の中から出て行ってください.

あっそう.ほなさいなら.

だけど狸が出て行ったら,おやじと暗い穴しか残りませんでした.

(2003/5/23)

 人口に膾炙する物語は人口に解釈される物語とは別のやり方でなぞられる.

楽しみ方の違いを言っているのではない.楽しみ方は人それぞれなので知ったこっちゃない.

知れ渡ったあたりまえの筋書きには,骨を抜いた皮の質感だけが残される.その手触り(だなんて怪しい言葉であるが,ここで楽しみ方の違いを云々するよりはマシだろう)を辿るだけの行為が,たかだか理解の構造を明らかにするだけの解釈と比べて劣っているという言い方はあるまい.それこそ紋切り型である.優劣は個別の事情で知ったこっちゃないが,その手前にあるなぞり方の違いくらいはなんとか言葉にしたいと思う.

まだ舌が足りぬ.

(2003/5/23)


 たとえるなら,アリス・リデルというよりは,クリストファー・ロビンのつもりで.

(2003/5/21)


 不兄の兄

四葉は自分の脳内兄貴を信じない.
四葉のことを一番理解してくれるだなんて,能ない兄貴を信じない.
学校での暮らしがうまくゆかず,走り出したあの日に見た,
銀色の飛行船が兄だった.
それは,四葉の手には届かない,どうすることもできない形だった.

随意ならざる力が12の形を成して,四葉の下を訪れた.

「ロシアのアニメで見たんだ.
 12の月のお兄ちゃんが,わたしを助けてくれるんだ.
 ストーンヘンジの真ん中で,転がれ転がれ指輪よと,
 高らかに唱えれば彼らはやって来た.
 12人の兄は物語のようにわたしを助けたりはしなかった.
 実際,助けてほしいことなんてなかった.
 兄たちはいつも愚にも付かぬことを言い合っては,
 最後に一度だけわたしを誘って,おきまりのやり方で解散した.
 ただそれだけだった.
 わたしはいつも置いてけぼりで,
 兄たちは好き勝手しゃべっているのだけど,
 それでもわたしは.」

四葉は,兄たちのようになりたかった.
兄たちは四葉の存在など気にもかけず,わがままに,
それでも四葉と遊んでいたのだ.

「今,兄を騙るあの人に,わたしは何ができるだろう.
 わたしは兄の存在など気にもかけず,わがままに,
 それでいて兄と遊んでいられるような人になりたい.」

ヒースローの持ち込み検査で,頭の螺旋を一本外し,
四葉は飛行機に乗り込んだ.

「兄チャマ,チェキするデス!」

四葉は口走っていた.
その言葉はさっきまでの何かと矛盾していたが,
これらかの自分が何を考え何を言葉にするのかを,
今の四葉はもう予測することができなかった.
英国で不射の射の境地に達した四葉は,再び全てを忘れ,兄を追いかける.
兄を見つけ,兄を抱き,そしていつか“兄”という言葉が示すものをこそ忘れる日まで.

(2003/5/20)

 寺御幸

素晴らしいので注文しました. CMのほうは僕もα-STATIONでせんど聞いたんだけど,全然覚えられませんでした.

うどんはおんち.浜村淳です.(2003/5/19)


 お兄ちゃんの日

12人のお兄ちゃん

今日は月に一度のお兄ちゃんの日です.
この日,小さな四葉とその12人の兄は,四葉たちだけを迎え入れる夜の原に集まります.
つまり,家族会議というわけですね.

「そろそろ四葉さんの将来のことを考えなければなりません.」

一番大きな兄が,静かに話を切り出しました.四葉のことをまだおさな子だと思っていた一同は,驚きを隠せません.それは早すぎる,もっと分別がついてからでいいだろう,と口々に不平を言いました.

「みなさん,お静かに.女の子というのはある日突然大人になってしまうものだと聞きます.ですから四葉さんの将来はいつ考えても早すぎるということはありません.」

四葉の教育方針は大兄に任されていました.大兄は兄たちの中では最も長生きで,人間の女の子のことにも詳しかったからです.

「四葉は大きくなったらぬいぐるみ屋さんになるんだったよね.」

テディベアのロビンが慌てた様子で言いました.四葉がほんとうに小さかった頃はロビンの体のほうが大きくて,ロビンは四葉と最も仲良しの兄でした.けれどもロビンは生き物ではなかったので,今はもう四葉に背丈を追い越されて寂しい思いをしています.

「お兄ちゃん,ごめんなさい.わたし,ぬいぐるみ屋さんにはならないわ.だけど,わたし絶対,大人になってもお兄ちゃんのこと捨てたりしないよ.」

ロビンはこの答えで安心したらしく,鼻をぷるんと震わせました.

「じゃあさ,宝石師はどうかな.ここら一帯の黄金は四葉にあげるって約束するよ.」

ノーム族の兄は山を一つ治めていました.彼は夜の深淵に居を構え,ときどき四葉の元を訪れては彼女に物質の美を教えました.この夢の野原で一緒に綺麗な玉を拾って遊ぶこともあります.しかし,ちょっと自慢しいなのが玉にキズでした.

「わたし,宝石師にもならないわ.」

「みなさん,自分のなってほしいものばかり言ってはいけませんよ.」

「では,四葉.君は翼のない蛇になってはならない.地を這わぬ鳥にもなってはならない.」

翼ある兄がまぜっかえすものだから,やっぱり話は進みません.

そのとき星が瞬いたことに気付いた兄はただ一人だけでした.
月と星とが笑いあっていたのです.
彼らは四葉がどこにいても見守っていてあげることができました.
この兄は,いつか彼らのように夜空の生命へ生まれ変わりたいと思っていました.

さて,まもなく一同は四葉の将来を投票で決めることにしました.こんな大事な話を投票だなんて,と思われるかもしれません.しかし,彼らは人間たちがものを決める方法について一つしか知らなくて,それは彼ら流の決め方よりは四葉のためになると考えていました.

「それではさっそく開票します.
 学校の先生1票,
 柔道の選手1票,
 庭師あるいはお花屋さん1票,
 め,ぬいぐるみ屋さん1票・・・」

ロビンは,僕じゃないよ,という顔をしましたが,「ぬ」を「め」と間違えて書くのはロビンだけでした.

「宝石師1票に鳥人間1票,まったくあなた方はもう!
 小説家1票,
 天文学者1票,
 おたんこなす1票?」

この阿呆,と中兄が一番小さな兄へカミナリを落としました.
彼はまだ生まれて間もないので,こんな風にひねくれてばかりです.

「あとは“輝きあれ”が1票と“慈愛あれ”が1票だよ.」

天文学者に投票した兄が,夜空を見上げてそう付け加えました.

「おや,みんな1票ずつなので,これでは決めることができません.」

大兄が一同を見渡して,最後に四葉のところで視線を止めました.そうするとようやく小さな四葉も自分から発言することができるのでした.

「ねえ,わたしにも投票させてほしいわ.だってわたしのことだもの.」

兄たちが頷くと,四葉は金の翼の呪文を唱えて体をふわりと浮かせました.それは兄たちが小さな四葉のために教えた魔法で,こうすると四葉の背は大兄や中兄の背と同じくらいになりました.自分の言葉を言うときは,そうでなくてはなりません.

小さな女神様は月に星に輝きながら,声高く宣言しました.

「わたし,大きくなったらお兄ちゃんたちのおよめさんになる!」

すると,夢の彼方にそびえる山脈からコダマが返ってきました.

『わたし,大きくなったらお兄ちゃんたちのおよめさんになる!』

「はい,これで2票,と.13票中2票で,四葉さんの将来はわれわれのおよめさんに決定しました!」

拍手とともに,四葉は兄たちから頭をなでてもらったり,キスの嵐を浴びたりしました.


そんな風にお決まりの結論が出て,今日もお兄ちゃんの日が終わりました.
いつものように,一同はこの結果に満足してそれぞれの棲み家へ帰ってゆきました.

月に一度,四葉が機嫌よく目覚める朝がある理由は,およそこういうわけなのです.

(2003/5/17)



リピュアBパートの四葉編を久しぶりに見直した.広いイギリスに独りきりという様子が,思い出話ならば可愛らしい.この四葉編の特別なところは四葉が兄と会ったことがないという前提を原作よりも明確に引っくり返してしまうことだ.つまりはそれくらい彼女にとって救いようのない前提なのだと思う.

逆に,西の善き魔女が単行本になっているのを見て驚きました.(そろそろ読もうかなぁ.)どうも流れとしては逆みたいですね.

「あほ」が上手く言えるようになってようやく,四葉も一人前の関西人だと思います.

大阪キャッチフレーズ
とれとれぴちぴち巫女みこナース(かに付)とか,
ああおんちかった巫女みこナース(うどん付)とか,
どうとんぼりの巫女みこナース(人形付)とか.
思いつくのは食いもんばっかなところがやはり食い道楽の大阪.
551のぶーたまん,北極のアイスキャンデー(里心).

PrismPocket】約一周年記念画でした.お暇な方は12人誰がどれだか当ててみてください.ただし目には見えない兄が1人だけいます.



 リューガ編終了.

あんたみたいな弟になりたかったよ.

ついでに言うと,オダギリである.五代くんではない,オダギリジョー本人のほうである.顔も性格もそのまんまじゃないか.僕にとってはあらゆる意味で生々しい.(2003/5/16)



 京の通り唄.

思わぬところでリンクが.不思議な語感を持つ歌で,道を覚える楽しさもあって京都の人は必ず知っています.僕は「姉さん」の響きがお気に入り.あーねさーん.

全部,三条やんかー,と思ったんですが.
・中央の写真.三条大橋から南へ鴨川西岸を望む
・左上の写真.三条大橋を北東より望む
・左下の写真.三条大橋上で西を向いたもの
・右上の写真.木屋町の姉三六いずれか.
苦しいけど,写真の指している方角が微妙に六角/姉小路通ととれなくもないか.

(東西の通り)
丸竹夷二押御池
姉三六角蛸錦
四綾仏高松万五条
雪駄ちゃらちゃら魚の棚
六条三哲とおりすぎ
七条こえれば八九条
十条東寺でとどめさす

(南北の通り)
寺御幸麩屋富
柳堺高間の東は車屋町
烏両替室衣
新町釜座西小川
油醒ヶ井堀川の水
葭屋猪熊黒大宮へ
松日暮に智恵光院
浄福千本果ては西陣

時を経て道が増えてしまったり,唄われてない道があったり,唄うための節が失われたりしています.姉三六角蛸錦の部分が最も有名で,僕もそこしか唄えません.本来あるべき東西の歌と南北の歌を交互に,正しい発音をもって逆さの順序で唄い捧げると,京の碁盤の目の下へ封じられていた何かが目を覚ますという言い伝えがあります.ガイアー. (2003/5/16)



 

あほのかみさま

1.
わたしのお兄ちゃんは,あほです.

ある日,「あほがうつるから」といって,いつものお話をしてくれなくなりました.
「お兄ちゃん,あほはうつらへんねんで」とわたしがいうと,
「四葉はかしこいなあ.お兄ちゃんやっぱりあほや.」
そういって,お兄ちゃんはもうしわけなさそうなかおをしました.

お兄ちゃんによると,あほは死んでもなおらへんので,
ともかくあほのいうことは聞いたらあかんのだそうです.

お兄ちゃんはわたしに算数の本をもたせていいました.
「四葉はもっともっとかしこくなりや.」
「でも,あほのいうことは聞いたらあかんのちゃうん.」
「そうや.四葉はほんまにかしこいなあ.
 だけどな,これはお兄ちゃんのいうことやからどうか聞いたってな.」

わたしはおべんきょうをはじめました.
お兄ちゃんはずっとお部屋でえっちなゲームをしています.
わたしは自分があほになってもええからお兄ちゃんのお話を聞いていたかったけど,
お兄ちゃんはわたしじゃなく自分があほなのがいやなんだと思います.

だからかみさまほとけさま,もしもおられるのでしたら,
お兄ちゃんのあほをなおしてあげてください.
そのためだったら,わたしはいい子にしておべんきょうします.

2.
「作文のときは,うちって書いたらあかん,わたしって書くねんで.」
これは,お兄ちゃんがわたしに教えてくれたことです.
ちょくせつわほうとかんせつわほうというのもあるんだそうです.
これであっていますか.

算数の本のうらに,お兄ちゃんの名前が書いてありました.
お兄ちゃんはこんなにいっぱいべんきょうしてるのに,
どうしてあほなんでしょうか.

あほが死んでもなおらないのは,あの世のかみさまがあほなんです.
あほのかみさまの国はきっとあほばっかりで,
だからあほなお兄ちゃんは,今,かみさまの国にいるんです.

お兄ちゃんは今日もお部屋でえっちなゲームをしています.


3.
お兄ちゃんのあほがなおりました.

お部屋から飛び出してきたお兄ちゃんは,
すごい大はっけんをしたのだといって,ノートにいっぱい文章を書きました.

こうしてわたしは,またいつかお兄ちゃんがあほになるまで,
お兄ちゃんの作ったお話をしてもらうことができるようになりました.
わたしたちきょうだいは,こんなふうにして何年もすごしています.

かみさまほとけさま,お兄ちゃんを返してくれてありがとうございました.
次はいつ連れてゆきますか.
わたしはもっともっとべんきょうして,お兄ちゃんみたいなあほになります.
そうしたら今度は,わたしも連れていってくださいますか.

(CLIE T650C + PixMaker for CLIE, 2003/5/11)


 デモンベイン,のふりをしたヤットデタマンの話.(2003/5/10)



 クローバーランドのお姫様(8)

「わたし,王様になんてなれやしないわ.」

「いいのです,さあ,鼠の宝をお持ちになってください.
 四葉さまはいつもいい子にしていますから,
 これはなんの見返りもいらない我らからの贈り物.
 大きいつづらと小さいつづら,どちらか一つを選んでください.」

すると四葉はオオヤリコヤリと喧嘩したことを思い出して,情けない気持ちになりました.

「ごめんなさい,わたし,どちらも受け取れない.
 それよりも早くみんなのところへ帰らなくちゃ.」

「残念です.それではこれまでのお詫びのしるしを差し上げます.
 きっと,貴方の旅に役立つはずですから.」

王が冠を開けると,中からころころとした薄藍の紙細工が出てきました.

「これはフウセンカツラ.桂剥きした月の玉を,張り合わせた紙風船です.」

けれども,四葉が手に取っただけで風船は壊れ,
その中からかわいそうなツキクサの種が一粒出てきました.
泣いてしまった四葉に向かって,今度は王様が謝りました.

「四葉さま,泣かないでください.
 これはもともとそうやって空へ帰すのです.」

四葉の手のひらからツキクサが芽生え,銀の糸ひと筋引きながら闇の天蓋へ消えてゆきました.

「あれは月輪儀の一種です.
 晴れた空には日輪儀,思う空には月輪儀,うわの空には天輪儀,と言う,
 それぞれ,日・月・星の投影です.
 大きい四葉さまにはもっと大きな形が必要でしたね.」

そう言って,王は闇色のビードロを投げました.
天輪儀
「これは天輪儀.裏表ある星影の,裏面だけを張り合わせた手鞠です.」

どうやらこの国には夜や影にまつわるものがなんでも揃っている様子でした.
天輪儀のつるつるとした表面は闇を映し出して,
日や月が描く輪をさかさまに,光のない輪を幾重にも放ちます.
輪がぐるぐると回るのを見ていると,一度だけ天輪儀の中が透き通って,
いつもの夜空の星影が,そこに瞬いているような気がしました.

「さあ,それを持ってお帰りなさい.
 貴方に助けが必要になったら使うのですよ.」

四葉は王とお別れをしました.
丸く膨れていたはずの王のお腹は,いつの間にか小さくしぼんでいましたが,
四葉がそれに気付いたのは全てが終わった後のことでした.

昨日は主線を黒に変えましたが,やっぱり上手く塗れないのでまた茶色に戻しました.

女の子の顔貌の話は普通にするもので,旅行など行った折,深夜には必ずその手の話題になる.だから僕もああだこうだといいながら適当に女の子の顔を拾い上げるし,ときに本音も混じってしまう(「池脇千鶴!」).美人投票は馬鹿馬鹿しいけれど,話の上で男の子や女の子を色々いじる時の常套手段であるから,女の子の住む次元に関わらずそういう言葉を自然,口にしたくなる.もちろん顔貌はシルエットにでもしない限り独立して品評できない.生首に顔はない.画面の向こうの彼女が何を言っていようが,まずは耳を塞いで刮目せよ.そこにはカメラフレームと彼女の姿態だけがある.心の目で見ない見たまんまについて言い表すことも彼女たちのことを考える一つの方法だと思うのだけど,それに耐えられるほどのフレームや姿態を彼女たちのほとんどは与えられていない.ゲームの中の彼女たちには顔面があっても顔はない.

ヨーンくんの顔が一番良い,白雪の顔が整っている事とか.永野護の絵も天広直人の絵も顔面はみんな一緒なんですが,それでもヨーンくんの顔が一番良いということに僕は賛成です.白雪も然り.顔貌の話をするしないについては,私のほうから話を振っておきながら自分でも何を言いたかったのか判らなかったのですが,つまり,ただの絵として生命を与えられたときに,彼ら彼女らのことを美人投票する気持ちになれるような絵を求めていたようです.そしてこのとき,顔面の詳細度は全く関係がありません.


ところで僕はというと,四葉の顔を覚えられません.こんなに描いた今でも資料なしで描くと怪しいです.ありでも怪しいですが.

(Zaurus MI-E21 + PrismPocket,2003/5/7)


 クローバーランドのお姫様(7)

ネノクニの王は,四葉がこれまで出会った中で最もちいさな鼠でした.
王は重い病に伏せっており,手足は痩せ,お腹だけが風船のように膨れ,
このかわいそうな鼠が王様であることは,
立派な王冠をかぶっているお陰でかろうじて想像することができました.
The King of the Elf-Folk
「四葉さま,貴方をさらって来たことには深いわけがあるのです.
 私の体はこんなに小さくなって,もうこの国はおしまいです.
 ここは世界の因るところ,夜はここより生まれます.
 ここはおしまいの国.一日の終わりの国,明日の始まりの国.
 おしまいの国がおしまいになれば,この世の本当のおしまいです.
 だからどうか,貴方がネノクニを受け継いでください.」


ネノクニ編,後半戦開始です.

「光車よ,まわれ!」を全部読み直してみると,なるほど,私はずいぶん影響を受けていた.釣り針など些細なことを除いて話の筋は全く忘れていたのだけど,ウラガリ国の王が小さかったり,お姫様をつれてゆくあたり自分の書いてきた話との繋がりを感じる.

なにより,ルミがやたらびしょ濡れになって脱ぐ/脱がされるあたりは,この十年に渡って僕の根本的な何かを支えたり歪めたりしてきたように思われる.


帰国妹も3つのステップの話も,自然科学に対する僕のごく個人的な抑圧された気持ちが噴出したものだったと思います.マトリョーシカを抱えた四葉はそのまんま僕だし.誰かに気に留めてもらえるものだとは思いませんでした.特に数学屋さん?からというのは驚きましたし,また嬉しいです.むしろ,ならばこそ基礎をもう一度やり直す意欲が湧いてきました.あと,絵を好きだと言ってもらえたときは常に非常に嬉しいです.いぇい.

(ショゴス100%)...って,丸八真綿もびっくりですな.
第6話.THE INVADERS:生身同士の戦闘→巨大ロボット召喚・介入という手順がキマっていて体が震えました.相手がドクター・ウェストの巨大ロボットではやはりさまにならなかった.
第7話.THE SHADOW OVER INSMOUTH:海水浴場で怪異が! いわゆる南の島編,タネも判りきっていることだしお気楽に笑い転げていましたが,最後,敵味方のパワーが指数関数的に上昇してゆく様は熱かった.あと,アルたん可愛いです.僕でさえ「たん」付けで呼びたくなっちゃう.

「そもそもにおいて,妾と汝とは端から奇妙な関係ではないか.
 それがさらに奇妙になったところで別に大した問題では無い……」

奇妙な関係でない恋物語が,一体これまでにあったでしょうか.

いや,あるけどさ.だけど,そういう普通じゃないズレた関係のことを僕ら大切に思ったり後になって未練を感じたりしがちじゃないですか.あれは恋だったのかしら.馬鹿は休み休み言え,それは恋だったに決まっているじゃないか.たしかに「恋しいは未来的感情」だけど,恋は事後的な感傷だよ鈴凛? 僕が彼らの間に恋を見るのは,その辿りつく場所に先回りして彼らを振り返っているからだ.

神とがっぷり四つで闘うのは神が矮小化してしまわないかと思いましたが,今木さんの文脈をお借りするとむしろ神たるロボットの話だからこれでいいのか.
海辺の話が終わったかと思えば,次はなんだか吹雪いています.もう嫌だ帰るとかいいたくなりますが.

(Zaurus MI-E21 + PrismPocket,2003/5/4)


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