Biblio-chat#3

4.「友井町バスターズ」

(水無月ばけら、富士見ファンタジア文庫)

洗脳クリニックに送られた友達を救いだすため、 小学5年の子供たちが冒険をする。 中心となる双子の兄妹の優しい掛け合いが面白く、 近未来の世界を子供の目で見た風景としてノスタルジックに描いているところも好きである。 が、いかんせん、話の盛り上がり部分での処理がお手軽すぎて、 物足りなかった。 中学生までの読者なら、これくらいでいいということかも知れないが、 精神世界を扱っているだけに、 流行りものだから使ってみただけなのかと思ってしまう。

大人の読者なら、不具の妹へ向けられた、作者のフェティッシュな視線を楽しむのも一興かも知れない。あまり健康的な楽しみではないが。

5.「ロケットガール」

(野尻抱介、富士見ファンタジア文庫)

人類初、もちろん日本でも初の女子高生宇宙飛行士を宇宙へ送り出す話。 主人公の女子高生に宇宙飛行士の技量を一から叩き込む、ということで、 宇宙開発ファンという作者の前半における悪ノリが、分かる人には爆笑ものだろう。 その辺りに力を割きすぎたため、主人公とサブパイロットとの交流がお粗末になった。主演女優にもなり得るほどの存在だっただけにとても残念。

打ち上げ直前や宇宙での緊張感は、良いと思う。しかし、緊張を一時弛緩させるにしても、(ネタバレなので詳しくは書かないが)あのロシア人たちの描写はやはり力が抜けすぎる。


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