● 晩秋の詩
例えば、秋が終わって冬が来る。 紅葉を見ないままに、雪が降った。 せめて、あの赤が目に焼き付いていたならば、 来るべき白の鮮烈さは、 心を揺り動かすかも知れないというのに。 |
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・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 冬の返歌 貴方はそう言うけれど、 明けてもまた夜は来る。 夜はずっと同じ夜。 貴方は夜しか知らないから。 けれども、 あの闇に見たものは、幻だったでしょうか。 街灯に照らされた冬の夜の魔法。 その覆った星影のかわりに、光の粒を降らす雲。 目を逸らした大きなもののかわりに、自分の創り出したものは、 目を逸らしたものよりも綺麗でしょうか。 逆らった大きな流れのかわりに、自分の創り出した流れは、 逆らった流れに負けぬものでしょうか。 時のもたらす焦燥が、 信じることを挫けさせるなら、気付いて下さい。 回り続ける秒針は、昼も夜も等しく刻んでゆくけれど、 耳を澄ませてみて。 響く音の異なることを。 そう時は貴方の味方。 貴方は鐘を叩き、ペンキを飛ばし、 魂のノイズを歯車に乗せ、朝へと運ぶでしょう。 そして、朝は小さく悲鳴を上げるでしょう。 |