◆ 星影拾遺異聞 ◆




『天夢航海』
   谷山由紀(ソノラマ文庫)について


これは、この世の異邦人についてのお話です。

ここじゃないどこかには、
わたしを受け入れてくれる、
わたしが本当にわたしらしくいられるところがあるのです。
きっと。

そんな"本当の故郷"を求める少女たち。
だからこの街、この世界では、
彼女らは異邦人であるのです。


作中に現れる小説「天夢界紀行」は、
そんな故郷喪失者の気持ちを代弁する物語ですが、
もちろん私たちにとっては、
この少女らの物語こそが共感できる友であり、
またしるべでもあります。

本当の故郷からの迎えの船を前に、

"・・・わかったのだ。自分は決してあの船に乗れないということが。おそらく、永遠に。そしてこの地上で、はるかかなたの天夢界に焦がれつづけるだろうということが。"

-- ここよりほかの場所 -- より

焦がれるけれど、けして乗ることのない迎えの船。
そして「天夢界紀行」に終わりはなく、
どこかでだれかの心の旅は、永遠に続いてゆくのです。

だからわたしはここに、
わたしの読んだ「天夢界紀行」を残しましょう。

この世の全ての異邦人たちへ。



 1.距離のヒミツ・・・

 2.星の約束

 3.Polaris





短冊懸 琥珀的小宇宙 硝子小窓 天球儀植物園
疎水圏博物誌 夜光性歌劇 星巡り 銀河郵便航路 錻力幻燈舎
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寿琅啓吾 <soga@summer.nifty.jp>