シンクロ

僕と穹は,あまりの美味さに,お互いを見合った.

祭の仕出し弁当の話.同じ顔してこういう仕草はとても可愛い.

ヨスガノソラ 通常版

ヨスガノソラ 通常版

奈緒ちゃんさんは姉っぽいことが揺るがない,という点においてヨスガノソラのなかでは特殊な人.

妹さんに注目が集まりがちな本作ですが,総じて兄弟姉妹的な年上っぽさ,年下っぽさによって人の関係をはかることへの随分なこだわりを感じました.

こいびといがいがすることぜんぶ

ふたりのその折々の関係を姉妹に,そして今度は母娘に見立てる.確かに母も年長者であるなぁ.

渚さんはまた母親の顔になって,天女目の髪を撫でる.

ひざまくら.

一葉はハンカチを取り出して,天女目の口元に付いたお菓子のかけらを拭き取ると,テーブルにこぼした分も拭き取る.

その間中,ん~~~っと口を突き出している天女目は子供みたいで,一葉は世話が焼ける子だと呆れる母親みたいで.

ひよこまんじゅう.

(天女目は)まるで,母が聞き分けのない子を諭すかのように,ゆっくりと話す.

渚一葉と天女目瑛のどちらが母親っぽいかというのは姉妹と言い換えたときと同じように一定しない.

兄弟姉妹というものは,どちらが年上っぽいかに揺らぎがあることを折り込み済みである,という認識を,重ね重ね描くやねぇ.

ヨスガノソラ 通常版

ヨスガノソラ 通常版

というような渚さんの話でした.

っぽい.

瑛「初佳お姉ちゃんは若いよー。ひろ姉ちゃんの方が年上っぽい感じするよねー。」

口を開けばどっちがエルダーかという話題であります.やっぱすごいなこれ.

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20110629/1309380869

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20110618/1308429749

天女目と穹は同学年のうちでの話だったのに比べりゃ,初佳さんはやや年が離れてるので年上っぽいとか年の割に子供っぽいとかいう話はまあ自然ですが.

初佳の母「はーい、次は唐揚げよー。ちっちゃい子は、こういう揚げ物の方が好きでしょー?」

初佳の母>>初佳(子供)>>悠・穹(ちっちゃい子)

である.

年上らしさのことであれやこれや悩んでる話のなかで,こういうざっくばらんな整列は有り難いですよ,お母さん.

ヨスガノソラ 通常版

ヨスガノソラ 通常版

初佳さんの話でも天女目の出番が多くて幸せでした.

異界兵装タシュンケ・ウィトコ,の話.ネタバレあり版.

僕がプログラミングに憧れた最初期に読んでたのが「ルンルンマイコン入門編」(1984年 *1)という漫画でした.

ロボタンみたいなメカと博士と子供たちの話で,恋人のロボ子さんが壊れてしまったのを子供たちが修理してゆく過程がBASIC言語の学習になっています.たしかHello, world!に毛が生えたくらいのプログラムをRUNするとロボ子さんの電子頭脳が起動してハッピーエンドになるんですが,ロボットってそんな簡単じゃないだろうと思いつつも,RUNするたびにロボ子さんが変わってゆく様子にどきどきしたものです.

シンタックス・エラーを越えてRUNが通ったときの突破感は,なにかが始まる気持ちと容易に接続されるのだと思います.両思いの瞬間,告白の言葉はきっと文法を間違えないんじゃないか.言葉はそのときそうでしか有り得ないものが見いだされて正格を為す.もっといえば言葉はただ言葉として,誰が書いたか,そこに何が書かれているかによらず,その正しさによってのみ恋愛を呼び込むというオカルトが在りはしないかしら.恋の呪文がスキトキメキトキスという回文性で保証されるみたいに.

さて,地の文に一人称が登場するという表層的な条件さえ満たしていれば一人称小説は名乗れるだろう.誰が書いたか,どうやって書いたか,何が書かれているかとか知らねぇ.人工実存機関はおそらく見た目が大ざっぱである通りにその程度のルールで始まったんじゃないかな.

人間の私小説がモデルだけど,タシュンケ・ウィトコのセンサーは人よりも高度である.高みから見下ろす360度の視界と壁をも突き抜ける地獄耳を持つウィトコが一人称的に知覚するものは人間の立場でいうなら俯瞰だ.だから,本人から遠く離れてばらばらと活動している学内の人々,軍の人々の暮らしっぷりによってハックされた私小説として人工実存機関は新たな正格を得る.

……みたいな?

えっと,女の子が,停止しちゃった恋人の男の子を修理するために勉強してる話が好きなんだよね.アーシアンの美幸と多紀でしょ,”Hello, world.”の深佳と和樹でしょ.男の子のほうがオーバーテクノロジーで作られてるもんだから直るかどうかよく判らないんだけど,そこを超えてくときにハッキングみたいな元の仕組みの裏をかくようなことをするのかもしれない.そんな風に,範子さんの原稿がなかなか受理されないけれど,ついにはなんらかの正しさに触れて完成したらしい様子が気に入っています.誰がどこにどう手を入れたかとかはどうだっていいの.

あと視界が360度あることもしょっちゅう触れられてるけど聴覚のほうが印象深いな.半ば声として通りすぎてゆくみなさんの様子がそれぞれに好きでした.

異界兵装 タシュンケ・ウィトコ (講談社BOX)

異界兵装 タシュンケ・ウィトコ (講談社BOX)

それはそうとして,薫さんの小説の中では本作がもっとも素敵と思う.

はじめての

おかいもの,というのは楽しようと思えば楽なもので,はじめての場所でもそのうち店員さんがちょちょちょちょっと寄って来て,何かお探しですかと聞かれればあとは頷いてればいい.それだけで済ますなら知識もうまさも必要ないんだけど,そもそもはじめてのお店へ入るときの緊張感っていうのは,あるわねえ.

散髪屋さんと服屋さんはハードル高いよね.だから,一度なりと勇気を出して入ったお店は入りやすくて,もしかすると彼らの商売はそういう敷居を越えたところにある繋がりに本質があるのかなと思います.

恋愛家庭教師ルルミ★Coordinate!では,店員さんと話すようなお店へ入ったことない鮎久くんを連れてルルミさんが服屋さんへ入るのですが,連れて入ってもらえた時点で大勝利ですよね.あとはもう店員の池下さんという気さくな人が近づいてきてどうにかしてくれる.いや,この池下さんに何度も会いに行く話なんです,これ.可笑しいよね.怖れるよりも,たとえ商売っ気であろうが人に委ねてどうにかなってしまうというのは,ときどき思い出すべき生きやすさではあると思います.

Amazon便利だよね.人と喋らなくてよいから好きです.まぁ,それはそうとして,Amazonで終われない事態が訪れたときには,お店との付き合いを考えることもあるって.それではじめからバレバレなことですが,このルルミさん,自分の個人的な事情で鮎久くんをどうにかしようと思っているところが好みです.あらすじにあるみたいに国家プロジェクト的ななにかで薔薇色のAmazon生活をどうこうされようなんて話は勘弁ですから.

恋愛家庭教師ルルミ☆Coordinate!

恋愛家庭教師ルルミ☆Coordinate!

ほんと素敵ですよね.大好きです.店頭で見かけて直感で購入する醍醐味はこういうところにあります.今年は面白いゲームが多くて当たり年だね.

パッケージの青い髪の人が気に入っていたので,そのままその方向に進めます.そのちえりさんも鮎久くんに100%ひと目ぼれという流れでぐっときます.ひと目ぼれいいですよね,ぜんぜん訳わかんなくって.無理に理由を探すなら,鮎久くんたしかに天然可愛いのでビギナーズラックというか,いや,初心っていうのは常にそういうことなんですが,これは初対面から可愛く見えるかもしれないな,と思いました.

プロ店員さんと話しておくっていうのは本当よくて,僕も店員さんじゃないけど銭湯のおばちゃんとか大家のおばちゃんとか階下のおばちゃんにいろいろ教えてもらったようなものだけど,とりあえず,なんとなく話をするということが人間同士のあいだに有り得るんだ,というところから始められる.その上に気遣いとかいろいろ考えるのは大変で,ちえりさんとの話はそういうことなんだけど.ちえりさんがいい人で,それで鮎久くんが可愛くて,良かったですね,おふたりさん.

どう見ても大学生カップルなんですが作中でとくに説明はなし.ルルミさんも年は隠そうとするけど,20代前半よねぇ.マニュアルなどあとで見直すとちえりさん鮎久くんの大学同期ということになっててそうよねー,と頷くけど,そんな風に言わんで済むところは言わんで進める調子も気に入っています.あとギャグが面白いのだけど,ときに乱暴なそれを面白く仕上げる優しさの下地が感じられるところもよいです.

あけっぴろげなところから初心で誠実なところへおさまってゆくという流れが好きなのだなぁ.フラワーズもそういうところが好きだったのだと,本作に触れて改めて言葉にすることが出来ました.

ありがとう.

せーの、

どういう本が好きかと訊かれて即答できるためには相当の修練がいるのです.

なんで好きなのかと訊かれて答えられるためにはさらに修練がいるのです.

俺も訊くけど.ごめんなさい.

なんて答えようか.古くさくてみだらな男女師弟関係の話が好きです.ありえない都市と信仰とまじないの話が好きです.湿度のたかい土地や時節の話が好きです.子供たちがごはんをつくる様子が好きです.へんな仕草とか見つけるのが好きです.文章なら考え考え書けるけど,対面で訊かれると真っ白になります.

個別の本についてはとくに本当に好きなのかどうか考え始めると考えるほどに判らなくなるのですが,不意に記憶から湧いた話をふたつだけ.

荻原規子,RDG レッドデータガール はじめてのお使い

絵を描くとき画面全体にひとつの色を薄く乗せると色調が整うのですが,同時に焦点のゆるい絵にもなります.街に雨が降るのもよく似た感じで,全体が同じ色に濡れてどこに居るのか判らなくなる.知らない街なんてとくにそうよ.雨の街に迷う不安ったらない.西新宿界隈の,かつては浄水場があったお土地柄を舞台に,地方から出てきた女の子が雨の迷宮へ追い込まれる様子が描かれています.たぶん.

オルコット,若草物語

俺の誤訳ではないかとも思うのですが,ベスの仕草がいちいち愛くるしいのです.

said Beth contentedly from her corner.

いつもの席から,ベスのおちついた声でした.(矢川澄子訳)

部屋のすみから,しあわせそうなベスの声がした.(中山知子訳)

her corner はいつもこの人,部屋のすみっこを居場所にしてるってことだと思うのです.ベスのためのベスのすみっこ.4姉妹そろった暖炉の部屋でこの人がいつもそうしていて,それがみんなにとって普通だという感じがいい.そんな風に薄暗くしててもいいんだって.

Beth ate no more, but crept away to sit in her shadowy corner and brood over the delight to come, till the others were ready.

ベスはもう何ものどを通らず,早々にいつものうす暗い片隅にひきとると,みんながそろうまで,近づくよろこびをひとりかみしめるふうでした.(矢川澄子訳)

これまでベスのずれた振る舞いを積み重ねた上での creep away.え,這って移動するの? それはさすがにおかしいだろう,でもそういう子なのか,と彼女がごそごそ這い去る絵面が頭を占めちゃって,それで大好きになってた.辞書的にはよろよろ歩くとかそっと歩くという意味もあるけど,最初の印象が這ってゆくものだったから頭から離れなくなった.shadowyもたいがいな形容ですよね.

中山知子のほうは青い鳥文庫の抄訳なので省かれている.なんてことを! と思いました.

Acacia3800シリーズ 夏めろ

Acacia3800シリーズ 夏めろ

そんなに簡単に誰かを好きになったりって,あるものなんだろうか?

一目惚れというわけでもないし,そもそも一目惚れなんて本当にあるんだろうか?

そもそも自分が今,水上さんを本当に好きなのかもよく分からない.

とはいえ,黙っていても仕方ない.

いちど恋人がいたことのある人の台詞.なんどでも,判るものじゃないさ.

かつて好きだった人と距離を置いてみれば,神妙に,ファンタスティックに訪れる回想と電話.かつて好きだったこともそんな風にときどき拾うことができていたら,悪くない人生?

穹

兄妹というよりはだらしない姉とけなげな弟に見えるのだけど,このへんはどちらとも取れるようになってる.

瑛「ふ~ん,さすがハル君,お兄さんだね~.大活躍だ.」

穹「……うん,いっつも頑張ってて……」

瑛「けど,穹ちゃんもお姉さんみたいだね.」

穹「……え?」

瑛「なんか,いつもじーっとハル君のこと見守ってる.そこがお姉さんっぽいかなぁ.」

瑛「双子って,そういう感じなのかな?でも,いいよね,そういう関係.」

対等の双子と捉えるよりも,その時々でどちらが年長っぽく見えるかというのが興味の対象で,兄弟姉妹という観点はあえて導入されています.それが最後の「助けて」にも繋がって,よすが,頼りにする,という関係を持ち込む手がかりになってます.

天女目よいなぁ.

数

かぞえたことなかったのでやってみたら,だいたい250本でした.

PCの,女の子わんさか出てくるようなゲームの本数の話です.だいたいおもしろかったなー,とか,すきだなー,と思ってるやつで,もうこれ以上はやらない感じのものを数えました.クリアしてるかとかコンプしてるかとかは知りません.たぶん3時間くらいしかやってないのも交じっています.1時間くらいやってもうやらなくなったのだけは省きました.

予想からあまり外れてない数でしたね.

メーカー名でソートかけたのでせっかくだからこれも数えてみると,上から Circus 10本,Leaf 10本,F&C 9本,ユニゾンシフト 9本,Littlewitch 7本,アリスソフト 7本,inspire 6本てな感じで,そこそこ息が長くて本数出してる人たちが上に来るというあたり前な結果でした.そしてさようなら,ありがとう Littlewitch….

15年やってると数としては平均化されますね,という話.

時間が経ってから振り返るとだいたいなんかおもしろかったなーとかすきだなーとかに印象が丸まっちゃうので,ベストなんぼとか安定してピックアップできないですよね.その都度,流れで変わります.特定の文脈で振り返って拾い上げるということはできる.

最近やったのがやっぱ優先されます.いま10人の僕が手を挙げたら満場一致で With Ribbon になるよ.

With Ribbon

With Ribbon

僕としてはあまりないことなのですが,たどれそうなところは一通りたどりました.何週目のループかっていうのとそれまでの選択結果で細かく文章が変わるから,ほんとに全部は追えてないだろうけど.

ギャルゲーでは,ある女の子の主人公に対する好感度を教えてくれる人とか恋愛成就の難易度みたいなのを教えてくれる人がたまにいて,日向はるかもそうなんだけど,この人,恋愛の達人だからとか女神さまだからとかじゃなくて,未来人だから知ってる.いや,理屈はあまりよく判らないのだけど,まぁ未来人って未来に誰と結婚するかとか知ってそうな感じするやん.

はるか「かつて人類の大多数が,空を飛ぶことなど不可能と考えていました」

(中略)

翔太郎「俺が沙蘭先輩と結ばれるのは,人類が初めて空を飛ぶこと並に困難な偉業ってことなのか?」

沙蘭先輩とのキスに辿りつくための条件は他の人より飛び抜けて細かいので,このやりとりが可笑しいです.

はるか「ですから,とにかく会う回数を増やすこと」

はい,回数重要ですね.アドバイスありがとう.俺が,俺たちが,いや,日向はるかさんがギャルゲーです.翔太郎といずれかの女の子との間に生まれたはるかさんが未来から現在にやって来ることがゲームのはじまりであり目的であり,そのために3日間のタイムリープを繰り返すことになります.この人がそもそもどうして未来からやってきたのか,未来でご両親の間になにが起こったのか,というのは,はるかさんあまり説明してくれないのですが,離婚とかそういうんじゃないよとは言う.はるかさん可愛いのでどうでもよいところではあったのですが,最後のおまけでぽろりと出てきました.内容は伏せますが,ギャルゲーを成立させる出来事というのは,こういうものであるとほんとよいよなぁ,としみじみ思えるものでした.

姉妹天気図

ヨスガノソラ.同じ学年でありながら,互いの間柄を測るときに兄弟や姉妹という関係を持ち出しがちなお話でした.

僕もそういうの気にするほうです.ラブ.

春日野穹と悠の双子,天女目瑛と渚一葉の異母姉妹,そして極めつけが留年している中里亮平のポジションです.

そう,僕たちは同い年の兄妹……双子だ.

便宜上,僕が兄という扱いになっているが,穹にとっては兄妹なんて関係なく,立場は対等だと言う.

冒頭より,双子の間で長幼の順に関する意識のズレていることが明らかにされて,その後に通底します.

天女目瑛もこの順序を乱しがちで,姉っぽさ,妹っぽさという話題を捌きながら,この人ならではの関係が築かれてゆきます.

悠と亮平が見る瑛と一葉の姉妹の順は次の通りでした.

悠 「なるほどね……なんか見てるとまるで姉妹みたいだよね.渚さんがお姉さんで,天女目が妹.」

亮平「ああ,お嬢のほうが瑛にべったりで,手のかかる可愛い妹の世話を焼いてるっちゃ,そうかもな.」

悠 「うんうん,そんな感じ.」

亮平「でも.実はちょーっと,違うのかもしれない.」

悠 「え,なにそれ?」

亮平「ま,観察してりゃ,そのうちわかるよ.」

姉妹という言葉から始めつつも,固定的なそれだけじゃ掴みきれないものが残るのです.

穹が見た悠,瑛,自分の兄妹の順は次の通り.

穹「…………ああいう妹だったらよかった?」

悠「?」

穹は,僕と天女目のやりとりに何か感じたのかな?

穹「瑛は,優しい……でも,時々怖い.」

悠「で,でも……瑛は明るいし,ちょっと子供っぽいところもあるけど,そんな乱暴な子じゃないよ.」

穹「何考えてるか,わかんない時がある……笑ってるのに.」

(中略)

穹「でも,嫌いじゃない……ハルが好きなんだったら,付き合えばいい.」

穹「瑛が生き別れの妹だったら良かった?」

悠「だとしたら,誕生日が早い瑛は僕のお姉さんになっちゃうよ.」

穹「瑛が姉?」

悠「あ,ちょっと失礼な想像しただろ,穹.」

穹「……瑛の方がお姉さんなのに,年下みたい……」

奈緒「まぁ,どっちかって言うとそんな感じよね.

  じゃあ,穹ちゃんもお姉さんになった気分?」

穹「……わからない……瑛は不思議……年上にも見えるし,子供っぽかったりもする……」

穹「……でも……嫌いじゃない.」

だいたいは妹みたいなんだけど,そこには怖さとか年上っぽさがよく判らない感じで伴っています.

よく判らないけど,でも,嫌いじゃない,って二度も言ってる.

相手のことを言語化して,だけどわからなくて,でも,嫌いじゃない,というこの人の繊細な気持ちの運び方が好きです.

瑛と一葉たち自身にとっての姉妹の順は次の通り.

瑛「あたしにも姉妹が居るんだなって思うと,それだけで凄く嬉しかったから.」

瑛「あたしとカズちゃんって,同じ日に生まれたんだよ.」

瑛「変だよねっ……あたしの方が全然頼りないのに,カズちゃんよりちょびっとだけ早い時間に生まれたの.」

瑛「カズちゃんの方が,お姉さんって感じなのにね?」

一葉「…………何言ってるの……そんなこと……ないよ………」

互いに相手のことをお姉ちゃんと思う.

一葉「私が,おねえちゃんって呼ばれるかもしれないのよね……」

一葉「それにね,姉が妹を守るっていうのが当たり前なら,今度は交代ね.」

一葉「私が姉になるかもしれないんだから.」

一葉のことばの上では,母親が誰であるか判明することそのものよりも,それによって自分と瑛のどちらが姉であるか決定されることのほうが注目されています.それにたぶん,どちらが姉であるかということよりも,姉だ,妹だ,っていう話をふたりでできること自体が彼女らにとっては喜びであるように見えます.というのは,「あたしにも姉妹が居るんだなって思うと,それだけで凄く嬉しかったから.」

そして,亮平と悠と瑛の関係.悠,穹,瑛,一葉は同じ学年でありながら兄妹とか姉妹という年の差を感じさせる言葉を使っています.一方亮平はもともと上の学年であるのが留年によって彼らと同じ学年になっています.

…………留年?

僕が亮平と呼んだ時,一瞬教室がざわめいたのを思い出した.

つまり,亮平は一つ上の先輩で……でも,僕はそんなこと知らずに……

瑛「あー,亮兄ちゃん! 待ってよー.」

亮平は悠にとって呼び捨ての友達になるけど,瑛にとっては亮兄ちゃんであって,同学年のなかにある年の差というのが特に意識される対象になっています.同学年らしさ,つまり同じ学齢の人間が平たく友達になってゆくというよりは,そこに実際の生まれ月や性格の違いによる長幼の揺らぎが含まれていることを彼らはよく感じ取りながら,互いの間柄を測っているように見えます.

兄妹,姉妹といえばギャルゲーの華ですが,血縁関係や血縁のない間柄,あるいは半分の血縁といったその変奏を同じ学年の中に展開しようとしているところに何か執着を感じました.同じ学年で兄妹というと普通双子くらいかと思いますが,名字の違う異母姉妹と留年したお兄ちゃんまでいるというのはどうかしていると思います,おもに僕が.

ヨスガノソラ 通常版

ヨスガノソラ 通常版

天女目瑛がたいへん可愛いです.

まだ瑛の話しか読んでませんが,以上のように感じるところが多かったので.