Planet-Aに会いにゆく




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 さて、スノゥはずいぶん旅をしましたが、あてのない旅はまだ終わりそうにありません。通りかかった河べりで、スノゥは足を休めました。ちょうどその時、むこうから熱い風が吹いて、華やかな夏の星の一団がやってきました。彼らの強い恒星風は、光の河の景色をまったく別のものに変えてしまいます。星のかけらでできた河は、風にまかれて大きく波打ち、赤や白の花かんむりや、大きな三角の宝石箱、そして、さそりの硬い甲羅までも、星のしずくで洗って、とくべつ綺麗に輝かせました。

 スノゥは上機嫌で水遊びをはじめました。夏の星たちは、それぞれ獲物を狙ったり誰かを恋いこがれたりで、まったく自分の仕事に夢中のようです。ですから、スノゥは誰も見ていないだろうと思って、体ごと、じゃばん、と河に飛び込んでしまいました。スノゥはなじみの友達と一緒にいるというようなことがなかったので、年相応の無邪気さを取り戻す機会はこんな特別の時しかありません。熱い風に吹かれればどうせすぐに乾いてしまいますから、スノゥはヴェールもびしょぬれにして、おもいっきり遊びました。

 けれども、そうしたときの少女の笑顔には、誰も無関心を装い続けることはできません。やがて、スノゥの水浴びに気がついた若い星の一人が、ほんのいたずら心から、この少女のヴェールを強く吹いて、河のむこうへ飛ばしてしまったのです。若い星にとってはちょっとしたいたずらでも、スノゥにとってそのヴェールはとても大切なものでした。なくしては大変、と慌てて河を渡ろうとしましたが、流れる星の意外な速さに足をすくわれて、スノゥは河に流されてしまいました。




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夏町 銅貨 <soga@summer.nifty.jp>