quasi-stellar radio girl
この世界にいっぱいの、瑠璃子さんのお話。
本作は、PC-9801/Windows95,98用ゲーム「雫」((c)Leaf)に贈る二次創作です。
A RADIO GIRL
僕らは屋上へ行かなくちゃならない。
彼女がそこに、いる限り。
瑠璃子さんと共に過ごす2000年の夏と、
屋上に残された古い電波の記憶。
それは、あの夏に灼きつけたままの、
瑠璃子さんの日光写真。
以前の彼女は、見ればいつも本を読んでいた。
その頃の僕は、
日常を壊すことばかり考えていた。
けれども今、僕たちは、
日常の中でこそ空想があることを知って、
その平凡な日々を取り戻すために
本の世界のような現実の中で夢をみていた。
新学期、はじめて足を踏み入れる校舎、
見知った顔のない講義室、
つまらないガイダンス、
逃げ出すように昇った屋上に、彼女がいた。
「おかえり」
そして、はじめまして。
最後のRadio girl.
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