流星を喚ばう人第一章. 喚ばい星 「ごめんなさい、そうですよね。相沢さんには名雪さんがいるんですよね、」 星月夜に天野は乞い願う。 せつなさを、肌寒い森の空気に震わせて。 「なのに私、こんなにやさしくされたの初めてだったから、勘違いしてしまいました」 それは、告白のシミュレーション、自作自演なのに何度やっても同じ結果になるのは、自分の想いにどこか偽りがあるせいだと思った。 だから天野は、星空に答えを求める。 母親というものが子供を眠りへ誘う存在だとすれば、星が天野の母親だった。幼い頃からなかなか寝つけない子供だった彼女は、いつも窓に映る星を数えながら眠った。自分よりも長い時を生き、自分が覚えているよりもずっと自分のことを知っている星に、天野は嘘をつくことができない。 あの流星雨の夜、天野は大きな嘘をついて泣いていた。 彼女が大きくなるにつれ、 母親だった星はかけがえのない友人へと変わっていった。そして、嘘をつく度に一つ、星は流れて失われるのだ。 天野は、星に自らを試す。 「私は、本当に、相沢さんのことが好きです」 すると、星はただ瞬いて答えた。 (そして、名雪さん、あなたのことが大嫌いです。) そう心の中でつぶやくと、今度は西の空に一つ、星が流れた。 |