Scene 10

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Scene9. 呉藍 Reprise

 クーラン、ムイ、魔女たち全員が広場に集まりました。

マスター:ムイはいつものティアン・ヨッドの下に座ります。

シン:まだ服が乾ききってませんね(笑)

エリー:「わあっ、濡れてるニャア。」

シルバス:「ご主人、また失敗したんですかミャア?」

クアリ:「今度はなにしたんですか?」

シン:「川で飛ぼうとして落ちちゃったの(笑)」

クーラン:「そっちはどうだった?」

シン:「だめだった。」

クーラン:「・・・あの洋燈の魔法がないと、願いがかなえられないよ!! まあ、一人前になれるかどうかも分からないけど。」

ムイ:「(少し、気のなさそうに。)ふぅん。」

シン:クーランにちょっと耳打ちします。「ねぇ、お願いってさあ、ムイちゃんの目が見えるようになること?」

マスター:クーランは顔が真っ赤になります。

シン:図・星!!

ムイ:「あっ、そういえばルアさんが探していたわよ。」

クーラン:「えっ、じゃあ、しょうがないなぁ、ぼく・・・ゆくよ。」

シン:「ちょっとまって、ちょっとまって。(また、クーランに耳打ちを・・・)えと、クーランって、お医者さんになるんだよね。」

クーラン:「ああ、まあ、がんばったらなれるかなぁ。」

シン:「がんばりなよ。頑張るんだってば。星洋燈に頼るだけじゃあ、お願いはきっとかなわないよ。」

クーラン:「う〜ん・・・。」

マスター:クーランはそういって去ってゆきました。そしてそれと入れ違いに彼があれわれますよ。

       

          ホシノヒト
Scene10. 星の人


星猫カラヴェーク:「よう!また会ったな!!」

エリー:来たか。

シン:星の猫だ!

星猫カラヴェーク:「あんた、こいつをさがしてたんだってな。チョンプーだ。」

マスター:カラヴェークはエリーに似た猫を連れてきています。

エリー:「そうだニャア。洋燈を盗んだのはあんたかニャア。」

マスター:その猫はちょっとすまなそうな顔をしてこういいます。

チョンプー:「みんなのアイドルのよぉ、ムイさんにあいつがちょっかいかけるから・・ちょっといだずらしたんだよぉ。でも、洋燈は星の頭をしたこどもにうばわれたんだよぉ・・・。」

シルバス:子供?

チョンプー:「なんかぴらぴらの服を着ていたよぉ。」

エリー:「その頭の星の色からどんな鉱石が想像できるかニャア?」

チョンプー:「そうだなぁ、いってみればアクアマリンかなぁ。」

シン:「そういえばそんな色のボタンがあったなぁ。」

クアリ:「ええ。」

星猫カラヴェーク:「そういえばこんな話があったな。星祭りの間、星たちは地上の祭にひかれて、人に姿を変えて街へやってくることがあるそうだ。一緒に遊んでた子供がうっすらと光だけ残して消えてしまった、という話もある。」

シン:怪談ですよ、それじゃあ(笑)

エリー:で、花と星のつながりが、ああね。

シルバス:『蛍』がないとかいう話と関係があるのか。

 これからどうするか話し合いますが、なかなか結論は出ないようです。

シルバス:「わしの経験からすると、ああいう人々はすぐに消えてしまうので、むこうからあらわれない限り見つけることは不可能だと思うミャア、ご主人?・・・とりあえず、わしはクーランのところにいってみたいミャア。」

クアリ:「お師匠さんになにをいわれているんでしょうねぇ。いずれにせよ、クーランに、星の人に洋燈がとられたってことを、教えてあげたほうが・・・。」

シン:「そうだね。・・・あ、じゃあ、ムイちゃんはどうする?」

ムイ:「わたしはここで待っていようかしら。」

エリー:久しぶりにカラヴェークがきてくれたことだしね。

クアリ:「じゃあ、いってくるね。」

マスター:カラヴェークはうれしそうにしているよ。


広場に残った二人。
ムイと、そのひざの上でまるくなるカラヴェーク。

ムイ:「ねぇ、猫さん?人はよく星に願いを託したりするけど、その『願い』って、どういう価値を持っていると思う。」

星猫カラヴェーク:「願っても絶対叶うってわけじゃなし。イカサマのようなものじゃないか。」

ムイ:「『星洋燈』もそうだと思う?」


シルバス:とりあえず小屋に行ってみましょう。

マスター:行っても二人とも小屋にいないよ。どこ行ったんでしょうね?

シルバス:どうにもならないミャア。

マスター:それじゃあ、そうしていると君たちの脇を例の背広を着た男が歩いて行きます。

シン:彼のほうへ寄ってゆく。

背広の男:「ん、どうかしましたかお嬢さん?」

シン:「え・・っと、あ、」

クアリ:「はじめまして。」

シルバス:「とりあえずご主人、挨拶するミャア。」

シン:「・・・こんにちは。わたしはリウィット・シンっていいます。魔女です。」

クアリ:「あたしも魔女で、クアリといいます。」

シリカ:「これはご丁寧に。私はシリカというものだが・・どうかしましたか?」

シン:「子供・・・フリフリの服を着た子供を知らないかなぁ?」

シリカ:「フリフリの服を着た?」

クアリ:「そう。こんなボタンを落としていったの。」とアクアマリン色のボタンを見せます。

マスター:それを見ると彼の顔色が変わるよ。

シリカ:「その釦をどこで!?・・・君たちはあの子に会ったのかい?」

シルバス:「貴方は誰だミャア?」

シリカ:「私はその子の兄です。」

シン:「へえ。」

クアリ:「お兄さんですか。」

シリカ:「君たち、あの子となにがあったんだい?」

シン:「市場で花を見てたの。あの子は。それで、『とうさま、かあさま、ルビィに碧瑠璃、シリカ、サファイア、雲母、やっぱり、蛍はいない、さがさなきゃ』っていって、いなくなっちゃったの。そのあと、橋の上でまた会ったら、あの子はね、水の中に飛び込んじゃってね・・・。」

クアリ:「・・・で、服を乾かしてあげていた時に、ボタンを落としちゃったみたいなの。」

シリカ:「じゃあ、君たちはそのボタンを返すためにあの子を捜しているのかい?」

エリー:「それもあるけど・・・。」

シン:「あの子が洋燈をとってっちゃったのかなぁ・・・。」

シリカ:「そうですね・・・・・・私たちの仲間とも会っていただきたいのですが。」

シン:「ルビィさんとか、碧瑠璃さんとか?」

シリカ:「おやおや、参ったな。・・・それじゃあ、夜中に遺跡のところでお会いしたいと思うのですが。」

クアリ:「ええ、いいです。」

シン:ところで、個人的趣味ですが、これなんの遺跡ですか?仏教の寺院とか。(と地図を指していう。)

マスター:これは主に昔の王国の天文台があった場所です。寺院跡もあると思いますが。

シリカ:「それでは失礼するよ。」

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