| 星素粒子の渦が回転を速めていた。 僕はそろそろ戻らなくてはならない。 少女は僕の名前を呼んだ。 それは少女の名前と同じだ。 僕が少女を、 少女が僕を抱きしめると、 三つの光が二人を繋げ、 渦は、次第に光の筋へと変わってゆく。 その中心に、僕らはいた。 星素粒子のジャイロスコープは 高速回転の水平宇宙を造り出し、 僕らはその上に地図を描いた。 陸ならば、夜明けの向こうまで続く道を誰と行こう? 海ならば、水平線を走る航路に誰と乗ろう? 無くしてしまったものたちを、 思い出したその一瞬、 投影星図の飛び石に変え、 目指す処は天の北極。 僕らは人工の北極星となって、 星巡りのハンドルを回すことができる。 図書館からの帰り道、 僕は宇宙飛行士に宛てた手紙を投函する。 小さな公園に寄り道して、僕は暮れてゆく空を眺める。 星の数の増えてゆく速さで、 今日と明日とを考える。 そのとき、胸の鼓動はあの明滅と同じで、 僕は僕だけの天輪羅針儀が回るのを 確かに感じていた。 . |